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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

(三聚浄戒)
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=三聚浄戒=
 
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trividhaM ziilam (skt.)「三種浄戒」ともいう。
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<big>trividhaṃ śīlam</big> (S)「三種浄戒」ともいう。
  
 
 [[ぼさつかい|菩薩戒]]の特色を表す概念のことであり、『[[けごんきょう|華厳経]]』に初出。
 
 [[ぼさつかい|菩薩戒]]の特色を表す概念のことであり、『[[けごんきょう|華厳経]]』に初出。
  
 本来は戒には[[しあくしゅぜん|止悪]]・[[しあくしゅぜん|修善]]・[[りた|利他]]の3種の働きがあるとする[[だいじょう|大乗]]の立場からの観察・意義づけであった。後に3種それぞれの徳目を列挙するようになった。代表的なものに『[[ゆがしじろん|瑜伽師地論]]』と瓔珞経(ようらくきょう)がある。
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 本来は戒には[[しあくしゅぜん|止悪]]・[[しあくしゅぜん|修善]]・[[りた|利他]]の3種の働きがあるとする[[だいじょう|大乗]]の立場からの観察・意義づけであった。後に3種それぞれの徳目を列挙するようになった。代表的なものに『[[ゆがしじろん|瑜伽師地論]]』と『瓔珞経』(ようらくきょう)がある。
  
 
 日本では簡便な瓔珞経・[[ぼんもうきょう|梵網経]]系の三種浄戒、すなわち
 
 日本では簡便な瓔珞経・[[ぼんもうきょう|梵網経]]系の三種浄戒、すなわち
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# 摂善法戒(しょうぜんぼうかい)
 
# 摂善法戒(しょうぜんぼうかい)
 
# 摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)
 
# 摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)
が専ら用いられた。その特色は摂律儀戒に小乗戒を含まず、[[じゅうじゅうきん|十重禁]]をあてるところにある。
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が専ら用いられた。その特色は摂律儀戒に小乗戒を含まず、[[じゅうじゅうきんかい|十重禁戒]]をあてるところにある。
  
 
:菩薩戒といふは三聚浄戒なり.一つには摂律儀戒,もろもろのあしき事を断つなり.二つには摂善法戒,もろもろのよき事を行ふなり.三つには饒益有情戒,もろもろの衆生をわたすなり    〔三宝絵 下〕
 
:菩薩戒といふは三聚浄戒なり.一つには摂律儀戒,もろもろのあしき事を断つなり.二つには摂善法戒,もろもろのよき事を行ふなり.三つには饒益有情戒,もろもろの衆生をわたすなり    〔三宝絵 下〕
  
 
:三聚浄戒は,上求下化の二心をもって本と為す    〔興正聴聞集〕
 
:三聚浄戒は,上求下化の二心をもって本と為す    〔興正聴聞集〕

2022年5月25日 (水) 09:14時点における最新版

三聚浄戒

trividhaṃ śīlam (S)「三種浄戒」ともいう。

 菩薩戒の特色を表す概念のことであり、『華厳経』に初出。

 本来は戒には止悪修善利他の3種の働きがあるとする大乗の立場からの観察・意義づけであった。後に3種それぞれの徳目を列挙するようになった。代表的なものに『瑜伽師地論』と『瓔珞経』(ようらくきょう)がある。

 日本では簡便な瓔珞経・梵網経系の三種浄戒、すなわち

  1. 摂律儀戒(しょうりつぎかい)
  2. 摂善法戒(しょうぜんぼうかい)
  3. 摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)

が専ら用いられた。その特色は摂律儀戒に小乗戒を含まず、十重禁戒をあてるところにある。

菩薩戒といふは三聚浄戒なり.一つには摂律儀戒,もろもろのあしき事を断つなり.二つには摂善法戒,もろもろのよき事を行ふなり.三つには饒益有情戒,もろもろの衆生をわたすなり    〔三宝絵 下〕
三聚浄戒は,上求下化の二心をもって本と為す    〔興正聴聞集〕