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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
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衆生が輪廻転生する過程の、一サイクルを4つに分けて説明するもの。''[[くしゃろん|倶舎論]]'' などに説かれている。 | 衆生が輪廻転生する過程の、一サイクルを4つに分けて説明するもの。''[[くしゃろん|倶舎論]]'' などに説かれている。 | ||
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− | # 死ぬ瞬間を意味する'''死有'''( | + | # 死ぬ瞬間を意味する'''死有'''(しう、maraṇa-bhava) |
===二十五有=== | ===二十五有=== |
2018年7月9日 (月) 22:23時点における版
有
bhava (skt.)
- この字を「う」と読むのは、「呉音」(ごおん)読みだから。仏教では通常、漢字を呉音読みする。
三有
trayo bhaavaH (skt.)
生きものの生存状態、生存領域。十二因縁では第10番目の、欲界・色界・無色界の三界を衆生が輪廻していく状態を指す。
四有
catvāro bhāvaḥ (S)
衆生が輪廻転生する過程の、一サイクルを4つに分けて説明するもの。倶舎論 などに説かれている。
- 死んでから次の生を受けるまでの期間である中有(ちゅうう、antarā-bhava)
- それぞれの世界に生を受ける瞬間を意味する生有(しょうう、upapatti-bhava)
- 生を受けてから死ぬまでの一生の期間である本有(ほんぬ、pūrva-kāla-bhava)
- 死ぬ瞬間を意味する死有(しう、maraṇa-bhava)
二十五有
三界を開いて、二十五有とする。
欲界に十四有があり、4悪趣・4洲・6欲天。色界に七有、4禅と初禅中の大梵天、ならびに第4禅中の浄居天と無想天。無色界に四有、4空処。
存在
bhaava、sat、astitaa (skt.)
存在するもの、ものが存在する状態、存在すること、存在、存在性。「無」の反対概念。
有についての仏教の考えは多様で、実体として存在する実有、車や林のように部分の集合体として存在する仮有・施設有、真俗二諦の考えを背景とした「世俗有」「勝義有」などがある。
- 空と云ふ、有と云ふ、みな方便の門なり。実には一心法界非有非空なり 〔沙石集(4-1)〕