いちじょう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
一乗
サンスクリット語「eka-yāna」(一つの乗り物)の訳語で、乗(乗り物)は、人々を乗せて仏教の悟りに赴かせる教えをたとえていったものである。
仏教にはさまざまな教えがあるが、いずれも仏が人々を導くための手段として説いたもので、真の教えはただ一つであり、その教えによってすべてのものが等しく仏になると説くことをいう。
この主張はインドの初期大乗仏教において成立したもので、とくに『法華経』で強調されている。
仏の教えは人々の資質や能力に応じて
の三乗に分けられるが、この三乗は一乗(=一仏乗(いちぶつじょう))に導くための方便にすぎず、究極的にはすべて真実なる一乗に帰すと説く。
この一乗の思想は大乗仏教の精髄を示すものとして後代の仏教に大きな影響を与え、中国の天台宗、華厳宗においてとくに重視された。