じゅうじゅうびばしゃろん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
十住毘婆沙論
じゅうじゅうびばしゃろん
大乗仏教の論書。龍樹(ナーガールジュナ。150年ころ-250年ころ)の著とされるが、疑問もある。サンスクリット原典は現存せず、鳩摩羅什(クマーラジーバ)の漢訳のみ現存する。
17巻35品よりなり、華厳経の一部である「十地品」の注釈である。「十住」とは「十地」に対する鳩摩羅什の訳語である。
内容
十地の全てを解釈したものではなく、第27品までが初地(歓喜地)、第28品以下が第2地(離垢地)の注釈で、その途中で終わっている。
易行品
第9品易行品は阿弥陀仏信仰を説くものとして、中国、日本の浄土教徒に尊重された。ここでは菩薩が不退転の位に達するのに難易の二道があるとし、諸仏・菩薩を憶念し、恭敬礼拝すれば、速やかに不退転の位に達すると説いている。
必ずしも阿弥陀仏一仏のみを挙げているわけではないが、特に阿弥陀仏を讃歎する偈文もあり、曇鸞、道綽以後、浄土教の主要典籍として重視された。