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いじゅくか

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

異熟果

vipāka-phala (S)

 5つの果(異熟果・等流果・離繋果・士用果・増上果)五果の一つ。
 六因のなかの異熟因から生じる果。2世にわたる因果関係によってもたらされる果・原因は善か悪かであるが、その結果である異熟果は無記(善でも悪でもない)である。このように因と果とが価値を異にしているから異熟果を異類熟とよぶことがある。異熟果としては、たとえば殺生をしたり盗んだりする10種の悪業によって、来世に地獄・餓鬼・畜生に生まれることがあげられる。
 唯識では前世の善悪業によって生じた阿頼耶識を根源的な異熟果と考え、それを真の異熟ととらえて「真異熟」とよぶ。これに対して阿頼耶識から生じた六識の異熟果(貴賎・苦楽・賢愚・美醜など)を「異熟生」とよぶ。

 異類熟者、即異熟果。謂、善不善、生無記果。此無記果、従善不善異類因生、故名異熟。〔『大毘婆沙論』19、T27-98b〕

 菩薩の異熟果として寿量具足・形色具足・族姓具足・自在具足・信言具足・大勢具足・人性具足・大力具足の8種が説かれる。〔『瑜伽師地論』36、T30-484b〕〔『成唯識論』3,T31-16a~b〕