ごか
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
五果
異熟果・等流果・離繋果・士用果・増上果の5つの果のこと。「六因五果」という。
『倶舎』6、T29-35a以下; 『雑集論』15、T31-765b~c; 『略纂』2、T43-29c~30aを参照。
後因果異熟 前因増上果 同類遍等流 倶相應士用 異熟無記法 有情有記生 等流似自因 離繋由慧盡 若因彼力生 是果名士用 除前有爲法 有爲増上果〔『倶舎』6、T29-35a〕
五火
初期のインドでは、輪廻説が出てくるが、紀元前8世紀ごろのウパニシャッド文献などに表れる。この五火説は、祭祀行為になぞらえて、死者が生まれ変わる過程を説いたものである。
- かの世界はまさに祭火である。太陽こそその薪、光線はその煙、昼はその焔、月はその炭、星はその火花である。この祭火のなかに、神々は信を供物として投げ入れる。この献供からソーマ王が出現する。
- 雨雲はまさに祭火である。風こそその薪、霧はその煙、稲妻の閃光はその焔、稲妻はその炭、霞はその火花である。この祭火のなかに、神々はソーマ王を供物として投げ入れる。この献供から雨が出現する。
- 大地はまさに祭火である。歳こそその薪、虚空はその煙、夜はその焔、四方はその炭、四維(北東など)はその火花である。この祭火のなかに、神々は雨を供物として投げ入れる。この献供から食物が出現する。
- 男はまさに祭火である。ことばこそその薪、気息はその煙、舌はその焔、眼はその炭、耳はその火花である。この祭火のなかに、神々は食物を供物として投げ入れる。この献供から精液が出現する。
- 女はまさに祭火である。陰部こそその薪、性的誘惑はその煙、陰門はその焔、挿入はその炭、性の歓びはその火花である。この祭火のなかに、神々は精液を供物として投げ入れる。この献供から胎児が出現する。
- このようにして、第五の献供にさいして、水は人間のことばを語るようになるというわけである。この胎児は胞衣におおわれて、十ヵ月あるいは適当な期間、胎内に留まって、そののち生まれる。それは生まれると、寿命のあるかぎり生きる。そこから生まれたところである〔茶毘の〕火へと運ばれる。〔『チャーンドーギャ・ウパニシャッド」五・四・一〜五・九・二〕