ごうぶく
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
降伏
abhicāra, ābhicārika (S)
「降伏法」、また「調伏」「調伏法」ともいう。
法力によって邪悪な対象を屈伏させることである。密教には種々の現世利益を目的とする修法が存するが、その主なものに息災(そくさい)・増益・降伏・敬愛の4種法があり、その中の一つである。
仏法や国土に害をなす悪人や敵国を降伏するための呪法であり、インド古代のヴェーダの祭式に起源を有し、護摩を焚いて神々に怨敵の破滅を祈るが、時には一種の形代(かたしろ)であるヤントラを作り、それに対して焼く、釘を打ちつけるなどの象徴的な治罰(じばつ)行為を行うこともある。
日本の密教では降伏の相手によっては、たとえば外敵降伏のための太元帥明王(たいげんすいみょうおう)などのように通常の不動明王以外の特別の明王を選び、護摩壇や護摩炉も三角形青黒色のものを用いるなど、他の修法との対比において種々の規定がある。密教以外にも、蒙古来襲に際しての日蓮の祈念などの例がある。