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ほうおんこう

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

報恩講

 祖師の法恩に報謝するために行う法要のこと。著名なものは、新義真言宗と浄土真宗で行う法要行事である。

新義真言宗

 新義真言宗の頼瑜によって、派の祖師である覚鑁の忌日に論義会を設け、これを報恩講と称した。
 これは夏冬の2期にこれを修行した。夏の報恩講は、5月1日に始まる。冬の報恩講は10月1日から始まり、七箇条を論題として、各一条ごとに7日、都合49日の論義を経て、忌日の12月12日に終る。
 論義は、打分・読合・組習試・大組習試・闇習試・内座・本座・出仕などに分かれて行う。この内、打分から本座に至るまでは稽古論義であり、出仕論義は最後の12月5日から7日間にわたって行われる。僧侶は末席から問答を始めて順次上座に至り、最上座と能化の問答が終わって後、能化みずから覚鑁の影像に向かって問いかける。
 夏の報恩講は20数年のちに廃止され、冬の報恩講だけが修せられていたが、学制の変革によって、現在は廃されている。

浄土真宗

 本願寺の覚如は、永仁年中に、宗祖親鸞の忌日に報恩講を始めた。自ら『報恩講式』を製作して、親鸞の真宗興行・本願相応・滅後利益の3段の徳を歎じ、これをもって講会の規とした。
 ついで延文4年に存覚はさらに『嘆徳文』を作って、これを報恩講で読むことにした。

 抑、当月の報恩講は、開山聖人の御遷化の正忌として、例年の旧儀とす。これによりて遠国近国の門徒のたぐひ、この時節にあひあたりて参詣のこころざしをはこび、報謝のまことをいたさんと欲す。‥‥まことにもて、念仏得堅固の時節到来といひつべきものか。   〔御文章4〕
 今月二十八日の御正忌七日の報恩講中にをひて、わろき心中のとほりを改悔懺悔して、をのをの正義にをもむかずば、たとひこの七日の報恩講中にをひて足手をはこび、人まねばかりに報恩謝徳のためと号すとも、さらにもてなにの所詮もあるべからざるものなり。    〔御文章3〕

と言い、特に門信徒の改悔懺悔をさせることとしている。
 毎年、11月21日から忌日の28日の7昼夜行うことから、御七昼夜、あるいは御七夜、または御正忌、単に講などと呼んでいる。
 現在は、本願寺派高田派は太陽暦にして1月9日から16日まで執行している。さらに、末寺においては、あらかじめ期日を繰り上げて執行するから、御引上あるいは御取越と呼んでいる。