操作

ゆいしんさんじゅうじゅ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

唯識三十頌

本書は、無着の弟の世親が著した唯識の思想を要約した30の偈頌で、玄奘が訳したもの。

なお、このほかに漢訳されたものに、真諦が訳した『転識論』がある。

その後、護法がこの唯識三十頌を注釈して玄奘が訳した『成唯識論』は、法相宗(唯識宗)の重要な論典のひとつとなった。

<唯識三十頌の一節>

煩悩謂貪瞋 癡慢疑悪見
随煩悩謂忿 恨覆悩嫉慳
誑諂与害驕 無慚及無愧
掉挙与昏沈 不信併懈怠
放逸及失念 散亂不正知
不定謂悔眠 尋伺二各二

文献

※近年刊行の一部。
  • 長尾雅人、荒牧典俊、梶山雄一訳注 『大乗仏典15 世親論集』 新版中公文庫、2005年
  • 中村元訳著 『現代語訳大乗仏典7 論書・他』 東京書籍 2004年-第2章に「唯識三十頌」の解説 
  • 横山紘一 『唯識わが心の構造 「唯識三十頌」に学ぶ』 春秋社(新興福寺仏教文化講座)、新版2001年
  • 竹村牧男 『唯識の探究 「唯識三十頌」を読む』 春秋社、新版2001年
  • 広沢隆之 『「唯識三十頌」を読む』 大正大学出版会(選書版)、2005年
  • 加藤弘二郎 『「唯識三十頌」を読む』 角川学芸出版(仏典を読むシリーズ) 、2006年


余談

歌手宇多田ヒカルは、お気に入りの作家、三島由紀夫「豊饒の海」により、唯識三十頌を知り、写経をすることもあるという。(本人のブログ「Message from Utada Hikaru」による)[1]

外部リンク