ゆいしんさんじゅうじゅ
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唯識三十頌
本書は、無着の弟の世親が著した唯識の思想を要約した30の偈頌で、玄奘が訳したもの。
なお、このほかに漢訳されたものに、真諦が訳した『転識論』がある。
その後、護法がこの唯識三十頌を注釈して玄奘が訳した『成唯識論』は、法相宗(唯識宗)の重要な論典のひとつとなった。
<唯識三十頌の一節>
- 煩悩謂貪瞋 癡慢疑悪見
- 随煩悩謂忿 恨覆悩嫉慳
- 誑諂与害驕 無慚及無愧
- 掉挙与昏沈 不信併懈怠
- 放逸及失念 散亂不正知
- 不定謂悔眠 尋伺二各二
文献
- ※近年刊行の一部。
- 長尾雅人、荒牧典俊、梶山雄一訳注 『大乗仏典15 世親論集』 新版中公文庫、2005年
- 中村元訳著 『現代語訳大乗仏典7 論書・他』 東京書籍 2004年-第2章に「唯識三十頌」の解説
- 横山紘一 『唯識わが心の構造 「唯識三十頌」に学ぶ』 春秋社(新興福寺仏教文化講座)、新版2001年
- 竹村牧男 『唯識の探究 「唯識三十頌」を読む』 春秋社、新版2001年
- 広沢隆之 『「唯識三十頌」を読む』 大正大学出版会(選書版)、2005年
- 加藤弘二郎 『「唯識三十頌」を読む』 角川学芸出版(仏典を読むシリーズ) 、2006年
余談
歌手宇多田ヒカルは、お気に入りの作家、三島由紀夫「豊饒の海」により、唯識三十頌を知り、写経をすることもあるという。(本人のブログ「Message from Utada Hikaru」による)[1]