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れんげぞうせかい

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

蓮華蔵世界

kusuma-tala garbha-vyūhālaṃkāra-loka-dhaātu-samudra (S); padma-garbha-loka-dhātu (S)

華厳宗で説く、円教仏土の三類の一つ。詳しくは「蓮華蔵荘厳世界海」という。

 蓮華蔵世界は、毘盧遮那仏の居する仏土を言う。
 これは、蓮華が泥中から出て、泥に汚れない清浄さを、毘盧遮那の仏土に譬えたという説と、仏の因位の願力によって、大宝蓮華を感得し、それを依止として成立している世界だから蓮華蔵世界というとの説と、2つの説がある。

 この世界は一切人法などの法門を含摂し、一切の余の刹土を含摂し、また出生するが故に「蔵」と名づけ、無量の功徳を具するが故に「荘厳」という。
 三生成仏でいえば、証入生の聖者の住する浄土である。

摂大乗論釈

 華厳経には実の蓮華からなるとして説くが、梁訳の摂大乗論釈15では、これは大乗の法界真如を譬喩によって表したもので、実の蓮華ではないとする。

華厳宗

 華厳五教章3には、十仏の境界を大別して、国土海(果分不可説)と世界海(因分可説)とし、さらにその世界海を、衆生の性質能力などに応じて感見する土に差がある点から三類に分け、証入生(→成仏)の者が感見するのを蓮華蔵世界と名づけている。
 また華厳経探玄記3に、蓮華蔵荘厳世界海について、蓮華台蔵世界(梵網経の説にあたる)と遍法界の華蔵と樹形などの雑類世界との三種を立て、前の一は同教一乗の説、後の二は華厳経に固有な別教一乗の説であるとする。
 なお澄観華厳経疏2には、蓮華蔵世界を衆生と仏との二因に約して、教理を象徴的に示したものと解している。

浄土教

 世親浄土論の説に基づき、阿弥陀仏の極楽世界をもって蓮華蔵世界とする。

東密

 阿弥陀報身の浄土を加持身の蓮華蔵世界、大日法身の住処を本地身の蓮華蔵世界、衆生の干栗多心(肉団心)を行者身の蓮華蔵世界とする。


華厳信仰が弘まるとともに蓮華蔵世界の図が描かれることも行われた。
東大寺の大仏の蓮弁に刻する千釈迦、百億の小釈迦は梵網経の説によったものである。