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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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 それ自体で実在することを'''実有'''といい、実在しないものが[[いんねん|因縁]]の[[わごう|和合]]によって仮に有ることを[[けう|仮有]]という。
 
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<big>'''as''': dravya-sat: pariniṣpanna: vidyamāna</big> (S)
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 実体として存在すること。
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: 去来実有論者は過去と未来の性相は'''実有'''なりと計す。
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<big>dravyatas: dravyam asti</big> (S)
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 真実に存在すること。実体として存在すること。実物有ともいう。仮有の対。〈唯識〉は、他の縁によって生じたものは仮有であり、縁によらずに存在するものは実有であると説く。たとえば、[[さんしょう|三性]]でいえば、[[えたきしょう|依他起性]]は仮有であり、[[えんじょうじっしょう|円成実性]]は実有であるという。ただし、『成唯識論』には依他起性は仮有であり、且つ実有であるという説がある〔『成論』8、T31-47c〕。
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 他の縁に由って施設せざるが故に円成実性は唯だ是れ実有なりと云うは、真如に拠って説くなり。
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 諸の心心所は実有の性に非ず。依他起なるが故に。幻事などの如し。
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: 云何応知略説実有及仮有相。謂、若諸法、不待所余、不依所余、施設自相、応知略説是実有相。若有諸法、待於所余、依於所余、施設自相、応知、略説是仮有相。〔『瑜伽師地論』65、T30-659a〕
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 諸法の真の事理。真実に存在するもの([[じ|事]])とそれを支える真理([[り|理]])。[[しん|信]]の三つの対象(実有・[[うとく|有徳]]・[[うのう|有能]])の一つ。
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: 信差別略有三種。<small>(中略)</small>一信実有。謂、於諸法実事理中、深信忍故。〔『成論』6、T31-29b〕
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 すべての存在するものがそれ自体のありようをしていること。5種の有(名有・実有・仮有・和合有・相待有)の一つ。
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: 諸有者、<small>(中略)</small>有説五種。<small>(中略)</small>二実有。謂、一切法各住自性。〔『婆沙』9,T27-42a~b〕
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<big>bhūta: sadbhūta</big> (S)
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 実無に対する実有。実際に存在すること。
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 若しくは法の実有を知りて実有と為し、若しくは法の実無を知りて実無と為す。
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 実無の事に於て増益せず、実有の事に於て段誇せず。

2018年8月9日 (木) 23:04時点における最新版

実有

 それ自体で実在することを実有といい、実在しないものが因縁和合によって仮に有ることを仮有という。


as: dravya-sat: pariniṣpanna: vidyamāna (S)

 実体として存在すること。

 去来実有論者は過去と未来の性相は実有なりと計す。

dravyatas: dravyam asti (S)

 真実に存在すること。実体として存在すること。実物有ともいう。仮有の対。〈唯識〉は、他の縁によって生じたものは仮有であり、縁によらずに存在するものは実有であると説く。たとえば、三性でいえば、依他起性は仮有であり、円成実性は実有であるという。ただし、『成唯識論』には依他起性は仮有であり、且つ実有であるという説がある〔『成論』8、T31-47c〕。

 他の縁に由って施設せざるが故に円成実性は唯だ是れ実有なりと云うは、真如に拠って説くなり。
 諸の心心所は実有の性に非ず。依他起なるが故に。幻事などの如し。
 云何応知略説実有及仮有相。謂、若諸法、不待所余、不依所余、施設自相、応知略説是実有相。若有諸法、待於所余、依於所余、施設自相、応知、略説是仮有相。〔『瑜伽師地論』65、T30-659a〕

 諸法の真の事理。真実に存在するもの()とそれを支える真理()。の三つの対象(実有・有徳有能)の一つ。

 信差別略有三種。(中略)一信実有。謂、於諸法実事理中、深信忍故。〔『成論』6、T31-29b〕

 すべての存在するものがそれ自体のありようをしていること。5種の有(名有・実有・仮有・和合有・相待有)の一つ。

 諸有者、(中略)有説五種。(中略)二実有。謂、一切法各住自性。〔『婆沙』9,T27-42a~b〕

bhūta: sadbhūta (S)

 実無に対する実有。実際に存在すること。

 若しくは法の実有を知りて実有と為し、若しくは法の実無を知りて実無と為す。
 実無の事に於て増益せず、実有の事に於て段誇せず。