「きんひん」の版間の差分
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
(→経行) |
|||
1行目: | 1行目: | ||
=経行= | =経行= | ||
− | + | <big>caṇkrama</big> (S)<br> | |
− | 一般には「[[きょうぎょう]]」と読むが、[[ぜんしゅう|禅宗]] | + | 一般には「[[きょうぎょう]]」と読むが、[[ぜんしゅう|禅宗]]では宋音に従って、「きんひん」と読みならわしている。サンスクリット語「caṇkrama」は歩行をいみしており、インドでは、療病や消化促進の健康法として、一定の距離を直線的にゆっくり反復往来することが、よく行われた。これについては『[[なんかいききないほうでん|南海寄帰内法伝]]』(3)などに伝えられている。<br> |
織布の「経」(たて糸)のように、まっすぐ往来するので「経行」というとする解釈も『阿弥陀経義疏』などにある。それが仏教に入って修禅法の一つとされ、樹間・静室・堂前・僧院の廊下などで、静かに[[めいそう|瞑想]]しながら、反復歩行する修行法としてできあがった。 | 織布の「経」(たて糸)のように、まっすぐ往来するので「経行」というとする解釈も『阿弥陀経義疏』などにある。それが仏教に入って修禅法の一つとされ、樹間・静室・堂前・僧院の廊下などで、静かに[[めいそう|瞑想]]しながら、反復歩行する修行法としてできあがった。 | ||
2022年12月24日 (土) 14:41時点における版
経行
caṇkrama (S)
一般には「きょうぎょう」と読むが、禅宗では宋音に従って、「きんひん」と読みならわしている。サンスクリット語「caṇkrama」は歩行をいみしており、インドでは、療病や消化促進の健康法として、一定の距離を直線的にゆっくり反復往来することが、よく行われた。これについては『南海寄帰内法伝』(3)などに伝えられている。
織布の「経」(たて糸)のように、まっすぐ往来するので「経行」というとする解釈も『阿弥陀経義疏』などにある。それが仏教に入って修禅法の一つとされ、樹間・静室・堂前・僧院の廊下などで、静かに瞑想しながら、反復歩行する修行法としてできあがった。
効用
その効用について『四分律』(巻59)は、
- 遠行にたえられるようになる
- 思惟にたえられるようになる
- 病にかかりにくくなる
- 食物が消化しやすくなる
- 長く禅定できるようになる
の五点をあげている。なお禅宗では、睡気を醒ますため坐禅のかたわらこれを行う。〔坐禅用心記〕
- 禅堂に入りて出観ののち、闇々たる暗き闇に縁の辺に経行ありて 〔明恵歌集〕