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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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きべつ、(skt) vyaakaraNa व्याकरण<br>
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(skt) vyaakaraNa व्याकरण
「分別経(ふんべつきょう)」「記」「記説」などと訳される。<br>
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[[サンスクリット]]語のvyaakaraNaは、「分ける」という意味の動詞「vyaakaroti」から派生し、分別・説明・解答を意味している。また言語を分析するところから「文法」という意味ももっている。これから転じて「未来を予言する」という意味が生じ、後世になって[[にょらい|如来]]から記別を受けるという予言を説く「授記作仏」(じゅきさぶつ)思想が発達する。
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'''記別'''の語は[[じゅうにぶきょう|十二部経]]のうちの一つである。<br>
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 「分別経(ふんべつきょう)」「記」「記説」などと訳される。<br>
伝統的な解釈として''[[ゆがしじろん|瑜伽師地論]]'' 巻25、''[[けんようろん|顕揚論]]'' 巻6、''[[あびだつまじゅうろん|阿毘達磨集論]]'' (巻6)、''[[ぞうじゅうろん|雑集論]]'' (巻11)などでは、[[きょう|経]]に対して、より詳説分別広説し、未了義の経を説明解釈するものであるとしている。しかしこれでは十二部経の「論議」([[うばだいしゃ|優婆提舎]])と区別できない。<br>
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 [[サンスクリット]]語のvyaakaraNaは、「分ける」という意味の動詞「vyaakaroti」から派生し、分別・説明・解答を意味している。また言語を分析するところから「文法」という意味ももっている。これから転じて「未来を予言する」という意味が生じ、後世になって[[にょらい|如来]]から記別を受けるという予言を説く「授記作仏」(じゅきさぶつ)思想が発達する。
真の意味は''[[ばしゃろん|婆沙論]]'' (巻126)、''[[じょうじつろん|成実論]]'' (巻1)、''[[じゅんしょうりろん|順正理論]]'' (巻44)に説かれているとおり「問答体」である。記別には本来、問い(prazna)に対する解答の意味がある。''[[あごんきょう|阿含経]]'' の中には、''[[じょうぶ|長部]]'' の21経・28経、''[[ちゅうぶ|中部]]'' の49経などのように、問答体の経が「記別」と呼ばれている。
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 '''記別'''の語は[[じゅうにぶきょう|十二部経]]のうちの一つである。<br>
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 伝統的な解釈として『[[ゆがしじろん|瑜伽師地論]]』 巻25、『[[けんようろん|顕揚論]]』巻6、『[[あびだつまじゅうろん|阿毘達磨集論]](巻6)、『[[ぞうじゅうろん|雑集論]](巻11)などでは、[[きょう|経]]に対して、より詳説分別広説し、未了義の経を説明解釈するものであるとしている。しかしこれでは十二部経の「論議」([[うばだいしゃ|優婆提舎]])と区別できない。<br>
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 真の意味は『[[ばしゃろん|婆沙論]](巻126)、『[[じょうじつろん|成実論]](巻1)、『[[じゅんしょうりろん|順正理論]](巻44)に説かれているとおり「問答体」である。記別には本来、問い(prazna)に対する解答の意味がある。『[[あごんきょう|阿含経]]』の中には、『[[じょうぶ|長部]]』の21経・28経、『[[ちゅうぶ|中部]]』の49経などのように、問答体の経が「記別」と呼ばれている。

2008年1月14日 (月) 21:58時点における版

記別

(skt) vyaakaraNa व्याकरण

 「分別経(ふんべつきょう)」「記」「記説」などと訳される。
 サンスクリット語のvyaakaraNaは、「分ける」という意味の動詞「vyaakaroti」から派生し、分別・説明・解答を意味している。また言語を分析するところから「文法」という意味ももっている。これから転じて「未来を予言する」という意味が生じ、後世になって如来から記別を受けるという予言を説く「授記作仏」(じゅきさぶつ)思想が発達する。

 記別の語は十二部経のうちの一つである。
 伝統的な解釈として『瑜伽師地論』 巻25、『顕揚論』巻6、『阿毘達磨集論』(巻6)、『雑集論』(巻11)などでは、に対して、より詳説分別広説し、未了義の経を説明解釈するものであるとしている。しかしこれでは十二部経の「論議」(優婆提舎)と区別できない。
 真の意味は『婆沙論』(巻126)、『成実論』(巻1)、『順正理論』(巻44)に説かれているとおり「問答体」である。記別には本来、問い(prazna)に対する解答の意味がある。『阿含経』の中には、『長部』の21経・28経、『中部』の49経などのように、問答体の経が「記別」と呼ばれている。