きんひん
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経行
caṇkrama चण्क्रम (S) : cańkamana चङ्कमन (P)
一般には「きょうぎょう」と読むが、禅宗では宋音に従って、「きんひん」と読みならわしている。
サンスクリット語「caṇkrama」は歩行をいみしており、インドでは、療病や消化促進の健康法として、一定の距離を直線的にゆっくり反復往来することが、よく行われた。これについては『南海寄帰内法伝』(3)などに伝えられている。
織布の「経」(たて糸)のように、まっすぐ往来するので「経行」というとする解釈も『阿弥陀経義疏』などにある。それが仏教に入って修禅法の一つとされ、樹間・静室・堂前・僧院の廊下などで、静かに瞑想しながら、反復歩行する修行法としてできあがった。
効用
その効用について『四分律』(巻59)は、
- 遠行にたえられるようになる
- 思惟にたえられるようになる
- 病にかかりにくくなる
- 食物が消化しやすくなる
- 長く禅定できるようになる
の五点をあげている。なお禅宗では、睡気を醒ますため坐禅のかたわらこれを行う。〔坐禅用心記〕
- 禅堂に入りて出観ののち、闇々たる暗き闇に縁の辺に経行ありて 〔明恵歌集〕