4巻。
法勝(トカラの人という。3世紀頃か)の著。東晋の僧伽提婆・廬山の慧遠の共訳。『心論』と略称する。
『発智論』の組織に準じて『大毘婆沙論』の教理の綱要をまとめた書。説一切有部のガンダーラ系のもので、有部の学説を整然と組織化した最初の論書である。界・行・業・使・賢聖・智・定・契経・雑・論の10品から成るが、あまりに簡潔すぎて要領を得ない所があるので、『阿毘曇心論経』や『雑阿毘曇心論』などの釈論が造られた。『倶舎論』や『顕宗論』の成立の基礎となるものである。