ばしゃろん

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婆沙論

abhidharma-mahāvibhāṣā-śāstra (skt.)

 詳しくは『阿毘達磨大毘婆沙論』といい、略して『大毘婆沙論』『婆沙論』『婆沙』などと言い習わしている。梵本、チベット訳は現存しないが、玄奘の訳した漢訳200巻と、北涼の浮陀跋摩らの訳した不完全訳60巻とがある。

 『大毘婆沙論』は〈大註釈〉という意味で、『発智論(ほっちろん)』を説一切有部の正統説と位置づけて、これを註釈し、これにたいする異説を排除し、有部の正統説を顕示した論書である。

内容

 2世紀後半に北インドを支配したカニシカ王が有部に帰依し、彼の援助によって500人の阿羅漢がカシミールに集まって有部の三蔵結集したと伝え、その時結集した論蔵がこの『大毘婆沙論』となったとされている。おそらく有部内における数世紀にわたるアビダルマ(阿毘達磨)の研究が集大成されて、2-3世紀ごろに成立したと考えて良いだろう。『発智論』の説に拠(よ)りながらも、色法を極微からできていると考えているところや、三世実有・法体恒有を主張し、の刹那滅を説くなど、『発智論』より進んだ教理が多くあり、有部の特色ある教理体系が示され、他部派の教理も破斥する形で紹介されており、部派仏教の研究に重要な論書である。
 さらに、大乗仏教にも基礎学として有部の教理が利用されているために、大乗仏教の理解にも役立つ。

 漢訳で150万言の大部の論書であるために、全体に通暁することは容易でなく、そのためにインドでも種々の綱要書が作られ、『倶舎論』もその一つである。中国・日本でも『倶舎論』が主として研究され、『大毘婆沙論』まで研究を深める学者は少なかったが、最近は本書の研究が重要視されるようになっている。

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