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リグ・ベーダ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

リグ・ヴェーダ

Ṛg-veda (S)

 インド最古の文献である本集(サンヒター)の最初のもの。リグは「讃歌」、ヴェーダは「知ること」と言う意味から「知識」と言う意味である。後にバラモン教の聖典となる。
 すべてサンスクリット語で書かれており、初期には記憶によってのみ伝承された。

 バラモンが祭りを執行するときに、目的とする神を祭場の上天に勧請するために、その神に呼びかける讃歌を集めたもの。

 アーリア人は宗教的な民族で、家庭に祭火を点じてそれに供物をささげ、また、戦勝や家畜の増殖・子孫の繁栄など、さまざまの現世的な願望をとげるために祭祀を行なった。祭祀において神々にささげられた讃歌を集成したものが『リグ・ヴェーダ』で、1028詩篇から成り、10巻に分かれている。
 編纂されたのは紀元前10世紀ごろで、讃歌がつくられた年代は紀元前1200年ごろを中心とすると考えられる。そこには暴風雨や雷霆、太陽や暁紅など、自然界の諸現象を神格化した多数の神々が登場し、祭式の要素や抽象的概念の神格化も見られる。神への讃歌以外に、婚礼・葬送などの儀礼に誦する詩篇や叙事詩篇もふくまれ、最新層をなす第10巻には、天地創造をうたった数篇の哲学的讃歌がある。