しえん

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四縁

catvāraḥ pratyayāḥ (S)

すべての原因を4種に分類したもの。「」は、ここでは原因の意味。

  1. 因縁
    直接的・内的原因。
  2. 等無間縁(次第縁)
    前の心が滅することが次の心を生じさせる原因となること。
  3. 所縁縁(縁縁)
    認識の対象が認識を起こさせる原因となること。
  4. 増上縁
    前の3種以外のすべての原因が含まれる。
     他のものが生ずるのに積極的に力を与える場合(有力(うりき)増上縁)と、他のものが生ずるのを妨げないことが原因になるという消極的な場合(無力(むりき)増上縁)の2種がある。

 現象的存在を生じる4つの原因。因縁・等無間縁・所縁縁・増上縁の4つ。これら4つですべての原因を包括する。
 因縁(hetu-pratyaya) とは根本原因、等無間縁(samanantara-pratyaya) とは心が生じるための原因で、一刹那前に減した心、所縁縁(ālambana-pratyaya) とは心が生じるための認識の対象、増上縁(adhipati-pratyaya)とは以上の3つの縁を除いた他のすべての原因、をそれぞれいう。
 植物の種子が根本原因となって芽・茎・枝などが生じることに喩えて、因縁は「種子の法の如し」といい、前のものが滅することによって後のものにその場所を開き与えることに喩えて、等無間縁を「開避法の如し」といい(古来から「等無間縁一本橋」といわれる)、人が杖によって歩くことができることに喩えて、心がそれをよりどころとして生じる所縁縁を「任杖法の如し」という。増上縁は「不障礙の法」「不障の法」といわれ、あるものが生じることをさまたげない存在すべてを意味する。
 「唯識」では、一切は根源的な心である阿頼耶識から生じるとみるので、因縁とは阿頼耶識のなかの種子であると説く。

 有四縁。一因縁、二等無間縁、三所縁縁、四増上縁。因縁者、謂、種子。等無間縁者、謂、若此識無間諸識決定生、此是彼等無間縁。所縁縁者、謂、諸心心所所縁境界。増上縁者、謂、除種子余所依。〔『瑜伽師地論』3,T30-292a〕

 『婆沙』55、T27-285b; 『倶舎』7、T29-36b以下; 『成論』7、T31-40a以下を参照。