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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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<big>citta-viprayuktāḥ saṃskārāḥ</big> (S)
  
 
 存在の分析を行うアビダルマでは、存在を5つにカテゴライズし、そのうちの一つである。
 
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 不相応行法とは、心と結びつかない存在のことで、他の4つに当てはまらないものをいう。
 
 不相応行法とは、心と結びつかない存在のことで、他の4つに当てはまらないものをいう。
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cf.[[ふそうおうぎょう|不相応行]]
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 心([[しんのう|心王]])に相応しない[[ぎょう|行]]。現象的存在を5つに分類する[[ごうん|五薀]]のなかの[[ぎょううん|行薀]]には心所と不相応法とがふくまれるが、このなか心(心王)と相応して働く心所を省くために心不相応(心に相応しない)という。また現象的存在ではない無為を除くために行(現象的存在)という。<br>
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 詳しくは「非色非心不相応行」というべきもので、[[しき|色]]と心との作用の上に仮に立てられたものであり、物質的なもの(色)でも心的なもの(心)でもない存在をいう。現象的存在のなか、精神でも物質でもない、いわば原理のようなものをいう。この存在性について[[じつう|実有]]であると見る〈[[くしゃ|倶舎]]〉と、[[けう|仮有]]であると見る〈[[ゆいしき|唯識]]〉との間で論争が展開されている。<br>
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 その数についても論書で相違がある。<br>
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 〈[[うぶ|有部]]〉では得・非得・衆同分・無想果・無想定・滅尽定・命根・生・住・異・減・名身・句身・文身の14<br>
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 〈唯識〉では『百法明門論』にある、得・命根・衆同分・異生性・無想定・滅尽定・無想報・名身・句身・文身・生・老・住・無常・流転・定異・相応・勢速・次第・方・時・数・和合性・不和合性の24。<br>
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を挙げる。<br>
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 [[しんふそうおう|心不相応]]・[[しんふそうおうほう|心不相応法]]・[[しんふそうおうぎょうほう|心不相応行法]]・[[ふそうおうぎょう|不相応行]]ともいう。
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: 心不相応行者、行薀。〔大毘婆沙論19,T27-96b〕
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: 不相応者、簡非色心及諸心所、不相似故。行簡無為。〔成唯識論述記2本< T43-276b〕
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: 不相似故者、不相似故、名不相応。不似色心質磯縁盧。〔成唯識論演秘2本,T43-842a〕

2020年11月29日 (日) 16:31時点における最新版

不相応行法

citta-viprayuktāḥ saṃskārāḥ (S)

 存在の分析を行うアビダルマでは、存在を5つにカテゴライズし、そのうちの一つである。

  1.     物質
  2.  
  3. 心所   心の作用
  4. 心不相応
  5. 無為   さとりの世界

 不相応行法とは、心と結びつかない存在のことで、他の4つに当てはまらないものをいう。

cf.不相応行


 心(心王)に相応しない。現象的存在を5つに分類する五薀のなかの行薀には心所と不相応法とがふくまれるが、このなか心(心王)と相応して働く心所を省くために心不相応(心に相応しない)という。また現象的存在ではない無為を除くために行(現象的存在)という。
 詳しくは「非色非心不相応行」というべきもので、と心との作用の上に仮に立てられたものであり、物質的なもの(色)でも心的なもの(心)でもない存在をいう。現象的存在のなか、精神でも物質でもない、いわば原理のようなものをいう。この存在性について実有であると見る〈倶舎〉と、仮有であると見る〈唯識〉との間で論争が展開されている。
 その数についても論書で相違がある。
 〈有部〉では得・非得・衆同分・無想果・無想定・滅尽定・命根・生・住・異・減・名身・句身・文身の14
 〈唯識〉では『百法明門論』にある、得・命根・衆同分・異生性・無想定・滅尽定・無想報・名身・句身・文身・生・老・住・無常・流転・定異・相応・勢速・次第・方・時・数・和合性・不和合性の24。
を挙げる。
 心不相応心不相応法心不相応行法不相応行ともいう。

 心不相応行者、行薀。〔大毘婆沙論19,T27-96b〕
 不相応者、簡非色心及諸心所、不相似故。行簡無為。〔成唯識論述記2本< T43-276b〕
 不相似故者、不相似故、名不相応。不似色心質磯縁盧。〔成唯識論演秘2本,T43-842a〕