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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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 [[しゅどう|修道]]、[[むがくどう|無学道]]と進展する三道の最初であり、また、修道とともに修学の必要な位([[うがくどう|有学道]])とされる。
 
 [[しゅどう|修道]]、[[むがくどう|無学道]]と進展する三道の最初であり、また、修道とともに修学の必要な位([[うがくどう|有学道]])とされる。
  
 [[ごどう|五道]][[しりょうどう|資糧道]]・[[けぎょうどう|加行道]]・'''見道'''・[[しゅどう|修道]]・[[くきょうどう|究竟道]])の一つ。五道とは[[ねはん|涅槃]]に向けて進みゆく5つの段階。そのなかで真理(諦)を見る段階を見道という。煩悩のない無分別の智慧([[むろえ|無漏慧]]・[[むふんべっち|無分別智]])が生じ、それによって[[したい|四諦]]の理をさとる段階。<br>
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:;[[くほうちにん|苦法智忍]]の生起する瞬間が'''見道'''に入るときである。
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 見所断の煩悩の断たれる過程を[[むろ|無漏]]の智慧の側から見ていけば、[[くほうちにん|苦法智忍]]が生起することから始まって、[[くほうち|苦法智]]が生起し、続いて苦類智忍→苦類智→集法智忍→集法智→集類智忍→集類智という順序に生起し、最後に道類智忍→道類智の生起に至る。<br>
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 苦法智忍の生起から道類智の生起まで16瞬間を要するが、道類智によって最後の見所断の煩悩が断ち切られた瞬間に、「修道」に入るから、この第16瞬間はもはや「修道」に属するとみなして除き、「見道十五心」と言う。
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 五道([[しりょうどう|資糧道]]・[[けぎょうどう|加行道]]・'''見道'''・[[しゅどう|修道]]・[[くきょうどう|究竟道]])の一つ。五道とは[[ねはん|涅槃]]に向けて進みゆく5つの段階。そのなかで真理(諦)を見る段階を見道という。煩悩のない無分別の智慧([[むろえ|無漏慧]]・[[むふんべっち|無分別智]])が生じ、それによって[[したい|四諦]]の理をさとる段階。<br>
 
 〈唯識〉は四諦の理に加えて真如の理をさとることを説く。四諦の理を観じる心に[[じゅうろくしん|十六心]]があるが、その第十五心までが見道であり、第十六心からが修道となる。〈唯識〉は見道を真見道と相見道とに二分する。[[つうだつい|通達位]]とおなじ。
 
 〈唯識〉は四諦の理に加えて真如の理をさとることを説く。四諦の理を観じる心に[[じゅうろくしん|十六心]]があるが、その第十五心までが見道であり、第十六心からが修道となる。〈唯識〉は見道を真見道と相見道とに二分する。[[つうだつい|通達位]]とおなじ。
  

2018年8月5日 (日) 11:02時点における最新版

見道

darśana-mārga (S)

 修行の階梯である三道の一つ。くわしくは「見諦道」といい、無漏智慧によって四聖諦(ししょうたい)(四諦)を明確に観察する位のこと。
 この位において、思想的な煩悩(見惑)が断ぜられ、聖者の位に就くことが可能になるので、凡夫性を離れるという意味で「離生(りしょう)」といい、また邪性のない涅槃に向う聖道という意味で「正性(しょうしょう)」とも言われる。

 修道無学道と進展する三道の最初であり、また、修道とともに修学の必要な位(有学道)とされる。

苦法智忍の生起する瞬間が見道に入るときである。

 見所断の煩悩の断たれる過程を無漏の智慧の側から見ていけば、苦法智忍が生起することから始まって、苦法智が生起し、続いて苦類智忍→苦類智→集法智忍→集法智→集類智忍→集類智という順序に生起し、最後に道類智忍→道類智の生起に至る。
 苦法智忍の生起から道類智の生起まで16瞬間を要するが、道類智によって最後の見所断の煩悩が断ち切られた瞬間に、「修道」に入るから、この第16瞬間はもはや「修道」に属するとみなして除き、「見道十五心」と言う。


 五道(資糧道加行道見道修道究竟道)の一つ。五道とは涅槃に向けて進みゆく5つの段階。そのなかで真理(諦)を見る段階を見道という。煩悩のない無分別の智慧(無漏慧無分別智)が生じ、それによって四諦の理をさとる段階。
 〈唯識〉は四諦の理に加えて真如の理をさとることを説く。四諦の理を観じる心に十六心があるが、その第十五心までが見道であり、第十六心からが修道となる。〈唯識〉は見道を真見道と相見道とに二分する。通達位とおなじ。

 加行無間無分別智生時、体会真如、名通達位。初照理故、亦名見道。〔『成唯識論』9,T31-50a〕

 大乗仏教では見道位を菩薩地の初地(五十二位の十地の第一)にあてる。