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2008年1月2日 (水) 12:36時点における最新版
肇論
中国、後秦(こうしん)代の仏教書。著者は僧肇。1巻。
『物不遷論(もつふせんろん)』『不真空論』『般若無知(はんにゃむち)論』『涅槃 (ねはん)無名論』という4編の論文に、『宗本義(しゅうほんぎ)』の一編を冠して編されたものだが、『宗本義』の真撰(しんせん)については疑問がもたれ、編纂(へんさん)は梁(りょう)代から隋(ずい)代のころと推定される。
著者は、鳩摩羅什に師事して大乗仏教、とくに般若空観の理解に優れた。本書は、その基本的命題である諸法の実相・空・般若・涅槃についての見解を、当時の一般的理解や老子・荘子などの思想と比較しつつ明らかにしたもので、以後の中国仏教や思想界に多大の影響を及ぼし、多くの注釈書も書かれた。