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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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 中国、東晋の僧、[[そうじょう|僧肇]]の論文集。4種の論文を集めたもので、現存するものは『物不遷論』『不真空論』『般若無知論』『涅槃無名論』を載せ、仏教思想の重要な問題点を当時の中国思想界の重要問題と関連させながら論述している点が特徴で、中国仏教発展史のうえでその意義は非常に大きい。
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 中国、後秦(こうしん)代の仏教書。著者は[[そうじょう|僧肇]]。1巻。
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 『物不遷論(もつふせんろん)』『不真空論』『般若無知(はんにゃむち)論』『涅槃 (ねはん)無名論』という4編の論文に、『宗本義(しゅうほんぎ)』の一編を冠して編されたものだが、『宗本義』の真撰(しんせん)については疑問がもたれ、編纂(へんさん)は梁(りょう)代から隋(ずい)代のころと推定される。
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 著者は、[[くまらじゅう|鳩摩羅什]]に師事して[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]、とくに[[はんにゃ|般若]]空観の理解に優れた。本書は、その基本的命題である[[しょほう|諸法]]の[[じっそう|実相]]・[[くう|空]]・般若・[[ねはん|涅槃]]についての見解を、当時の一般的理解や老子・荘子などの思想と比較しつつ明らかにしたもので、以後の中国仏教や思想界に多大の影響を及ぼし、多くの注釈書も書かれた。

2008年1月2日 (水) 12:36時点における最新版

肇論

 中国、後秦(こうしん)代の仏教書。著者は僧肇。1巻。

 『物不遷論(もつふせんろん)』『不真空論』『般若無知(はんにゃむち)論』『涅槃 (ねはん)無名論』という4編の論文に、『宗本義(しゅうほんぎ)』の一編を冠して編されたものだが、『宗本義』の真撰(しんせん)については疑問がもたれ、編纂(へんさん)は梁(りょう)代から隋(ずい)代のころと推定される。

 著者は、鳩摩羅什に師事して大乗仏教、とくに般若空観の理解に優れた。本書は、その基本的命題である諸法実相・般若・涅槃についての見解を、当時の一般的理解や老子・荘子などの思想と比較しつつ明らかにしたもので、以後の中国仏教や思想界に多大の影響を及ぼし、多くの注釈書も書かれた。