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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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(蘇悉地経)
 
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 「蘇悉地」(su-siddhi)とは、妙成就の意味。その巻上の中に
 
 「蘇悉地」(su-siddhi)とは、妙成就の意味。その巻上の中に
 
:他の真言法を修して成就しないときに、この経の根本真言を兼ねて誦持せば、まさに速やかに成就すべし
 
:他の真言法を修して成就しないときに、この経の根本真言を兼ねて誦持せば、まさに速やかに成就すべし
という記が、この経の主意である。そして一般に『[[だいにちきょう|大日経]]』による胎蔵(たいぞう)部と『[[こんごうちょうきょう|金剛頂経]]』による金剛界部との両部が密教の綱格とされているが、それにあわせて、唐において蘇悉地経による「蘇悉地部」が第三部として立てられるようになっていた。そのため、[[えんにん|円仁]]や[[えんちん|円珍]]や[[とうみつ|東密]]の宗叡(しゅうえい)(809-884)が入唐したころには三部の密教が行われていたので、それを伝承した[[たいみつ|台密]]では三部の組織をもつ。
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という記が、この経の主意である。そして一般に『[[だいにちきょう|大日経]]』による胎蔵(たいぞう)部と『[[こんごうちょうきょう|金剛頂経]]』による金剛界部との両部が密教の綱格とされているが、それにあわせて、唐において蘇悉地経による「蘇悉地部」が第三部として立てられるようになっていた。そのため、[[えんにん|円仁]]や[[えんちん|円珍]]や[[とうみつ|東密]]の[[しゅうえい|宗叡]]が入唐したころには三部の密教が行われていたので、それを伝承した[[たいみつ|台密]]では三部の組織をもつ。
  
 
 経典の系統は阿地瞿多(あじくた)訳の『陀羅尼集経』(だらにじっきょう)や[[ぼだいるし|菩提流志]]訳の『一字仏頂輪王経』の類に属すと見られ、それは主尊が仏頂(ぶっちょう)如来であること、諸尊を仏部・蓮華部・金剛部の三部に分けること、上中下の三悉地(しつじ)や息災(そくさい)・増益(ぞうやく)・降伏(ごうぶく)の三種法を説くことなどが、これらの経に共通している。<br>
 
 経典の系統は阿地瞿多(あじくた)訳の『陀羅尼集経』(だらにじっきょう)や[[ぼだいるし|菩提流志]]訳の『一字仏頂輪王経』の類に属すと見られ、それは主尊が仏頂(ぶっちょう)如来であること、諸尊を仏部・蓮華部・金剛部の三部に分けること、上中下の三悉地(しつじ)や息災(そくさい)・増益(ぞうやく)・降伏(ごうぶく)の三種法を説くことなどが、これらの経に共通している。<br>
 
 『蘇悉地経』を胎蔵部の経という説もある。
 
 『蘇悉地経』を胎蔵部の経という説もある。

2008年12月9日 (火) 11:18時点における最新版

蘇悉地経

3巻。善無畏訳。

 「蘇悉地」(su-siddhi)とは、妙成就の意味。その巻上の中に

他の真言法を修して成就しないときに、この経の根本真言を兼ねて誦持せば、まさに速やかに成就すべし

という記が、この経の主意である。そして一般に『大日経』による胎蔵(たいぞう)部と『金剛頂経』による金剛界部との両部が密教の綱格とされているが、それにあわせて、唐において蘇悉地経による「蘇悉地部」が第三部として立てられるようになっていた。そのため、円仁円珍東密宗叡が入唐したころには三部の密教が行われていたので、それを伝承した台密では三部の組織をもつ。

 経典の系統は阿地瞿多(あじくた)訳の『陀羅尼集経』(だらにじっきょう)や菩提流志訳の『一字仏頂輪王経』の類に属すと見られ、それは主尊が仏頂(ぶっちょう)如来であること、諸尊を仏部・蓮華部・金剛部の三部に分けること、上中下の三悉地(しつじ)や息災(そくさい)・増益(ぞうやく)・降伏(ごうぶく)の三種法を説くことなどが、これらの経に共通している。
 『蘇悉地経』を胎蔵部の経という説もある。