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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

(成実論)
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 [[きょうりょうぶ|経量部]]に立ち、それに大乗仏教を加味しながら、[[せついっさいうぶ|説一切有部]]の基本的立場である[[ほう|法]]の実有(じつう)思想を批判し、法が[[くう|空]]であることを強調する論書である。また、心を本体([[しん|心]])と心理現象([[しんじょ|心所]])とに分ける説に反対して、一つのまとまりあるものとして捉えることを主張している。<br>
[[くまらじゅう|鳩摩羅什]]の漢訳が現存しており、4世紀後半の成立と推定されている。[[きょうりょうぶ|経量部]]に立ち、それに大乗仏教を加味しながら、[[せついっさいうぶ|説一切有部]]の基本的立場である[[ほう|法]]の実有(じつう)思想を批判し、法が[[くう|空]]であることを強調する論書である。また、心を本体([[しん|心]])と心理現象([[しんじょ|心所]])とに分ける説に反対して、一つのまとまりあるものとして捉えることを主張している。
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 202品で、35品までに[[さんぼう|三宝]]を明かし、続いて94品までに[[くたい|苦諦]]、140品までに[[じったい|集諦]]、154品までに[[めったい|滅諦]]、202品までに[[どうたい|動諦]]を明かしている。
  
仏教以外の学説も、多く引用している。
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 仏教以外の学説も、多く引用している。
  
中国では、[[くしゃろん|倶舎論]]が翻訳されるまでは仏教教理の綱要書の代表とみなされ、盛んに研究されて、[[じょうじつしゅう|成実宗]]を形成するに至った。ただし、''成実論''が大乗論書であるか小乗論書であるかということで論議が生じた。
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 中国では、[[くしゃろん|倶舎論]]が翻訳されるまでは仏教教理の綱要書の代表とみなされ、盛んに研究されて、[[じょうじつしゅう|成実宗]]を形成するに至った。ただし、''成実論''が大乗論書であるか小乗論書であるかということで論議が生じた。
  
 
参考図書:<br>
 
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*[http://www.bk1.co.jp/product/1664638/ 新国訳大蔵経 毘曇部6]
 
*[http://www.bk1.co.jp/product/1664638/ 新国訳大蔵経 毘曇部6]
 
*[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-sat2.php?mode=detail&useid=1646_ 大正大蔵経 成実論 Vol.32 p.239a]
 
*[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-sat2.php?mode=detail&useid=1646_ 大正大蔵経 成実論 Vol.32 p.239a]

2010年8月27日 (金) 09:58時点における版

成実論

訶梨跋摩(Harivarman)著。16巻。 鳩摩羅什の漢訳が現存している。翻訳は、弘始13年(411)9月8日に始めて、同14年9月15日に終了している。

 経量部に立ち、それに大乗仏教を加味しながら、説一切有部の基本的立場であるの実有(じつう)思想を批判し、法がであることを強調する論書である。また、心を本体()と心理現象(心所)とに分ける説に反対して、一つのまとまりあるものとして捉えることを主張している。
 202品で、35品までに三宝を明かし、続いて94品までに苦諦、140品までに集諦、154品までに滅諦、202品までに動諦を明かしている。

 仏教以外の学説も、多く引用している。

 中国では、倶舎論が翻訳されるまでは仏教教理の綱要書の代表とみなされ、盛んに研究されて、成実宗を形成するに至った。ただし、成実論が大乗論書であるか小乗論書であるかということで論議が生じた。

参考図書: