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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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不退

a-vinivartanīya; avaivartika; a-vivartika (S), 阿鞞跋致阿毘跋致阿惟越致と音写し、不退転無退とも訳し、また必定ともいう。
 退とは退歩、退堕の意味で、悪趣や二乗地(声聞縁覚の位)に退堕し、またさとったはずの菩薩の地位やさとった法を失うこと。従って不退とはその逆である。不退の位を不退転地という。説一切有部では四善根位の中の忍位に至れば再び悪趣に堕することはないから不退を得ると説き、『大般若経』巻449では見道に入れば無生法忍を得て再び二乗地に堕せず、不退を得ると説く。
 また菩薩の階位を説くようになっては十住の第七を不退転住と名づけた。これらによって、諸種の不退説を生じた。

三不退

 吉蔵の『法華義疏』巻2の説。これを解釈するのに4説が紹介されているうち、第一説によれば、

  1. 位不退とは十住位の第七住以上の菩薩が二乗地へ退転しないこと。
  2. 行不退とは十地のうち、第七地の菩薩が修行した行から退転しないこと。
  3. 念不退とは第八地以上の菩薩が無功用(ことさらに努力を用いることなく自然に道に進むこと)の道に入り念が不動であること。

四不退

 三不退に処不退(阿弥陀仏の浄土に生まれてそこから退転しないこと)を加えたもので、迦才の『浄土論』巻上などの説。また窺基の『法華玄賛』巻2には別の四不退を説く。

  1. 信不退とは十信位のうち、第六心以上の菩薩が再び邪見を起こさないこと。
  2. 位不退とは十住位の第七住以上の菩薩が二乗地へ退転しないこと。
  3. 証不退とは初地以上の菩薩が証った法を退失しないこと。
  4. 行不退とは八地以上の菩薩が有為と無為との行をみなよく修めて退転しないこと。

 懐感の『群疑論』巻4も同じ意。

 なお智旭の『阿弥陀経要解』には、念・行・位・畢竟の四不退を、慈恩の『四土図説』には、願・行・智・位の四不退を説く。

五不退

 信・位・証・行の四不退に煩悩不退(等覚位の菩薩が煩悩のために退転させられないこと)を加えたもの。

浄土真宗の不退

 真実の信心を得た者は現生(この世)において正定聚の位に住み、必ず仏果に至ることに定まると説き、これを現生不退とも現生正定聚ともいう。