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ゆいまきょう

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

2024年11月10日 (日) 18:20時点におけるマイコン坊主 (トーク | 投稿記録)による版 (維摩経)

維摩経

ビマラキールティ・ニルデーシャ・スートラ、Vimalakīrti-nirdeśa-sūtra、विमलकीर्ति निर्देश सूत्र

 大乗仏教経典の一つで、サンスクリット原典は失われ、チベット語訳と3種の漢訳(支謙訳、鳩摩羅什訳、玄奘訳)が現存する。一般に用いられるのは鳩摩羅什訳『維摩詰所説経』(ゆいまきつしょせつきょう)である。

 『維摩経』(「ヴィマラキールティの教え」の意)は、1〜2世紀ころに成立したと思われる大乗経典である。そのサンスクリット本は、引用の形で他書に数個の断片が見られる以外には存在せず、ただ三種の漢訳と一種のチベット訳とがあるだけである。三種の漢訳は、「大正大蔵経』第14巻に収められ、474番『仏説維摩詰経』2巻(3世紀前半、呉の支謙の訳)、475番『維摩詰所説経』3巻(5世紀はじめ、姚秦の鳩摩羅什の訳)、476番『説無垢称経』6巻(7世紀、唐の玄奘の訳)である。チベット訳は『東北目録』(デルゲ版)の176番、『大谷目録』(北京版)の843番にあたる。
 これらの諸本のうち、最も親しまれてきたものは、鳩摩羅什の漢訳である。漢訳は、一般に原文を簡略化し、あるいは修飾補筆することなどが多い。それに対して、チベット訳は、一言一句直訳的であって、最も原文の体裁を保存するものと考えられている。最近、大鹿実秋氏は、デルゲ・北京・ナルタンの三版を校訂して、このチベット訳本文を出版した含インド古典研究』I、成田山、1970年)。

サンスクリット本の発見

内容

 中インド、バイシャーリーの長者ビマラキールティ(維摩詰、維摩)の病気を菩薩や仏弟子たちが見舞うが、みな維摩にやりこめられる。文殊菩薩のみが維摩と対等に問答をし、最後に維摩は究極の境地を沈黙によって示す。全編戯曲的な構成のなかに旧来の仏教の固定性を批判し、在家者の立場から大乗のの思想を高揚した初期大乗仏典の傑作である。中国、日本で広く親しまれ、聖徳太子三経義疏の一つ『維摩経義疏 』をはじめ、注釈も多い。