かんしょえんねんろん
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観所縁論
1巻。Ālambana-parīkṣā (S)
陳那(ディグナーガ、Dignāga)の著。唐の玄奘の訳(顕慶2、657)。異訳に陳の真諦の訳の『無相思塵論』1巻がある。
8偈の頌とその釈より成る小論で、識の対象である所縁を吟味して、それは実際にはただ内の識が外の境に似てあらわれるのみであると説いて、いわゆる有外境論を論破している。唯識派の論師である陳那の著作としては最も主要なものと考えられている。
チベット訳もあり、これにもとづく山口益のフランス語訳やフラウヴァルナ- E. Frauwallner のドイツ語訳があり、またシャーストリ I. Shastri や山口によるチベット訳からの梵文還元も試みられた。
この註釈にチベット訳されたヴィニータデーヴァ(調伏天 Vinītadeva)造の註釈と、漢訳された護法造・義浄訳の観所縁論釈とがある。前者には山口による和訳(世親唯識の原典解明 1953)がある。