いっせんだい

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一闡提

icchantika (skt.)の音写語。略して「闡提」ともいう。

 「断善根」「信不具足」などと漢訳されるが、これは意訳である。
 字義どおりには、「欲求する人」という意味に解され、現世の欲望を追求する人びとをさす。
 仏典の用例では、因果業報来世を信じないで、仏の所説にしたがわず、正法を誹謗して成仏の縁を欠くものをいう。

大乗涅槃経

『大乗涅槃経』では、一闡提を不成仏者と規定しつつも、終局的には仏性を有するゆえに成仏するものとしている。

楞伽経

楞伽経』では一闡提に「断善根」と「大悲闡提」の二つを分ける。前者は、仏の神力によって善根を生ずることのあるもの、後者は、菩薩衆生を救おうとする慈悲心によって、を起して涅槃に入らず悪趣(悪道)にとどまっているものをいう。

唯識

 法相宗では、終局的に成仏し得ない衆生として無種性(無性有情)を立てるが、それは一闡提に相当するものである。同宗の論である『大乗荘厳経論』では、「無般涅槃法」(涅槃に達することのできないもの)に「時辺般涅槃法」と「畢竟無般涅槃法」の二つを分ける。前者はある期間は涅槃に入ることはないが最後的には涅槃に入って成仏するもの、後者は永久に成仏しないものである。

一闡提の成仏を認めるか否かということが、法相宗と、一切衆生成仏を説く天台宗・華厳宗等との間の論争の焦点となった。