弁顕密二教論
2巻。顕密二教論、二教論とも略称する。空海の著。成立年不詳。
顕教(華厳・天台・法相・三論などの諸宗)と密教(真言宗)との浅深優劣を、能説の仏身、所説の教法、成仏の遅速、教益の勝劣という点から論じて、密教が最もすぐれていることを述べる。
密教は自受用の法身が自内証の境地から即身成仏を説くため、顕教で救われないような罪障の深いものでも救われるという。空海の『十住心論』が真言行者の菩提心の展開過程に即して密教のすぐれたことを明らかにした竪の判教であるのに対して、本書は二教を比較した横の判教である。