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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

abhiprāya: abhilāṣa: abhisaṃdhi: ā-kāńkṣ: iṣ: kāma: chanda: ruci (S)
 欲すること。望む、願うこと。

 諸の有情を利益せんと欲する為に神通力を現す。
 彼れが還って如法に平等に悔謝すれども、嫌恨心を懐て彼れを損悩せんと欲して其の謝を受けず。
 当殺とは其の身を傷害せんと欲するを謂う。

icchā: kāma: chanda: maithuna: spṛhā (S)
 煩悩としての欲。種々の原語がある。たとえば

として大なる欲(icchā)をもち、喜足を知らず。
自身を縁じて貪るを名づけて欲(icchā) と為す。
此の中の欲(kāma)とは五妙欲を謂う。
欲(kāma)に煩悩欲と事欲との二種あり。
欲(chanda)とは、未得と已得とに於て獲得し、及び受用せんと希求するを謂う。
他の財を悪しく欲する(spṛhā)はなり。

など。
 また性的な欲望の原語に「maithuna」がある。

 馬の欲(maithuna)が増すは春に属す。

chanda (S)
 別境心所(細かい心作用)の一つ。善いもの(善法)を欲するこころ。
 貪欲・愛欲(原語はrāga: tṛṣṇāなど)の意味の欲は否定される欲であるが、心所としての欲(原語はchanda)は肯定される善い欲である。善いものとは究極的には真理・真実である真如をいう。したがって究極的には真如をさとって仏陀になろうとする希望や願いが、ここでいう欲であるが、その過程において出家して僧になろうとする欲もこの欲に含まれる。善きものを欲するこころから努力精進が生まれる。

 欲とは、我れは何時に於て三摩地を修して当に円満するを得ん、と是の如き希望・楽欲を起こすを謂う。
 欲云何。謂、於彼彼境界、随趣希楽。〔瑜伽師地論55,T30-601c〕
 欲為何業。謂、発生勤励為業。〔瑜伽師地論55,T30-602a〕
 云何為欲。於所楽境希望、為性、勤依、為業。〔成唯識論5,T31-28a〕

 欲界の略称。cf.欲愛欲界

六欲

 「欲」はまた愛欲(kāma)、特に婬欲・性欲を意味する。凡夫が異性に対して、色欲・形貌欲・威儀姿態欲・語言音声欲・細滑欲・人相欲の姿形や声などの様相に対して起こす欲を「六欲」という。ただし、六欲には、眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の6感覚器官(六根)から生ずるさまざまな欲望をもいう。

 「欲界」とは、このような愛欲などの欲があるところであるというので、このように名づけられた。

五欲