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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

 
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インド後期の大乗仏教思想を代表する経典。
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==楞伽経==
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りょうがきょう、laNkaavataara-suutra (sanskrit)
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[[だいじょうきょうてん|大乗経典]]の一つ。<br>
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[[ぶつだ|仏陀]]がランカー島(スリランカ)に降下して説いた経ということで、正式には「入楞伽」という題名がつけられた。<br>
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[[ゆいしん|唯心]]の理から一切が[[くう|空]]、[[ふしょう|不生]]で幻の如しと説いており、また[[ゆいしき|唯識]]の教理体系を採り入れて、[[さんしょう|三性]]説や[[はっしき|八識]]説などを説いている。とくに識の根元としての[[あらやしき|阿頼耶識]]を、[[しゅじょう|衆生]]のもつ成仏の能力をあらわす[[にょらいぞう|如来蔵]]と同一視した点に特色がある。如来蔵と阿頼耶識の統合をはかっている点から、成立は5世紀ごろと考えられる。
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漢訳は3種あるが、最も影響力の強かったのは宋訳の4巻本である。<br>
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[[ぼだいだるま|菩提達摩]]が伝持したという話が有名である。
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経中の「一字不説」の語が禅宗の[[きょうげべつでん|教外別伝]]・[[ふりゅうもんじ|不立文字]]の典拠となる。<br>
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「大悲闡提(だいひせんだい)」(大悲をもって衆生を永久に済度し続けるため、自らは[[ねはん|涅槃]]に入らない菩薩)が説かれており、単に成仏を目的としない菩薩の存在によって、衆生の救済が願われていることを説明している。
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インド後期の大乗仏教思想を代表する経典。<br>
 
仏教諸学派の学説がいかに宗教的経験と結びついているかを示した。
 
仏教諸学派の学説がいかに宗教的経験と結びついているかを示した。
 
如来蔵とアーラヤ識の思想を結合し、「大乗起信論」の先駆をなす。
 
如来蔵とアーラヤ識の思想を結合し、「大乗起信論」の先駆をなす。

2004年7月21日 (水) 16:26時点における版

楞伽経

りょうがきょう、laNkaavataara-suutra (sanskrit)

大乗経典の一つ。
仏陀がランカー島(スリランカ)に降下して説いた経ということで、正式には「入楞伽」という題名がつけられた。
唯心の理から一切が不生で幻の如しと説いており、また唯識の教理体系を採り入れて、三性説や八識説などを説いている。とくに識の根元としての阿頼耶識を、衆生のもつ成仏の能力をあらわす如来蔵と同一視した点に特色がある。如来蔵と阿頼耶識の統合をはかっている点から、成立は5世紀ごろと考えられる。

漢訳は3種あるが、最も影響力の強かったのは宋訳の4巻本である。
菩提達摩が伝持したという話が有名である。

経中の「一字不説」の語が禅宗の教外別伝不立文字の典拠となる。
「大悲闡提(だいひせんだい)」(大悲をもって衆生を永久に済度し続けるため、自らは涅槃に入らない菩薩)が説かれており、単に成仏を目的としない菩薩の存在によって、衆生の救済が願われていることを説明している。


インド後期の大乗仏教思想を代表する経典。
仏教諸学派の学説がいかに宗教的経験と結びついているかを示した。 如来蔵とアーラヤ識の思想を結合し、「大乗起信論」の先駆をなす。