さんげだつもん
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
三解脱門
悟りに至る三つの門戸のこと。空・無相・無願の三つの三昧をいう。これから「三三昧」とも言う。
- 空三昧とは、すべて存在、あるいは存在現象は空であると観ずること
- 無相三昧とは、空であるゆえ種々相はない、差別の相がないと観ずること
- 無願三昧とは、無相なるゆえ願求すべき欲望の対象でないと観ずること
- 問うて曰く、三解脱門に入らば、則ち涅槃に到る。今、云何が空・無相・無作を以て、能く声聞・辟支仏地を過ぐるや。答えて曰く、方便力無きが故に、三解脱門に入りて、直に涅槃を取るなり。若し方便力有れば、三解脱門に住して涅槃を見るも、慈悲心を以ての故に、能く心を転じて還起す。(後略) 〔大智度論巻36 T25-323a〕
なお、三三昧は有漏(煩悩がある状態)のものと、無漏(煩悩を断じる智慧を発得する状態)のものとがあるが、解脱門(解脱にいたる門戸)というときは、後者の無漏の三三昧をいう。