みょうしき
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
名色
naama=ruupa
名(naaman)と色(ruupa)。「名」は心的・精神的なものであり、「色」は物質的なものであるから、「名色」はそれらの集まり、もしくは複合体のことである。元々、古代のウパニシャッド哲学で、現象世界の名称(naaman)と形態(ruupa)、つまり概念とそれに対応する存在の意味に用いられていた。
これが仏教に入って、「名」と「色」でそれぞれ個人存在の精神的な面と物質的な面を表し、「名色」とはそのような心的・物的な諸要素より成る個体的存在のこととされた。この場合の名色は、ほぼ五蘊に等しいものと考えられ、論書などでも受・想・行・識の四蘊を「名」、色蘊を「色」に配当して説明それている。
また、認識論的な観点から、外界の事物・存在も含めたすべての心的・物的な集まりを対象世界として、これを名色と呼ぶこともあり、この場合は色・声・香・味・触・法の六境に相応すると考えられる。
十二因縁の中の名色
識(認識)と相互依存的な関係にあるものとして、名色は対象世界を表している。
縁起説を胎生学的に解釈する際は、胎児の成長過程の、感覚器官の未発達な段階を指す。