操作

さんろんげんぎ

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

三論玄義

 1巻または2巻。中国の隋末唐初に三論の教学を大成した嘉祥大師吉蔵(549-623)が慧日道場(えにちどうじょう)にいた時期(597-599)に、三論の複雑な教義を簡明に説き明かした注釈書。

三論とは龍樹の『中論』『十二門論』と龍樹の弟子提婆の『百論』の三部ので、一切法空(いっさいほうくう)を説く。ともに鳩摩羅什によって漢訳された。

 本書は「通序大帰(つうじょだいき)」(三論に共通の根本趣旨を述べる総論)と「別釈衆品(べつしゃくしゅほん)」(個別の問題を論ずる各論)とに分かれている。

破邪顕正

 通序大帰破邪と顕正の二門で説明される。破邪では外道(仏教以外のインドの宗教および中国の思想)、阿毘曇(阿毘達磨小乗の論部)、成実論(吉蔵はこれを小乗とする)、大執(だいしゅう)(大乗を学びながらそれに執(とら)われている立場)の邪見、すなわち謬(あやま)った見解を論破する。顕正では龍樹の正当性と三論の教義が究竟無余(完全無欠)であることを説く。
 別釈衆品は造論縁起を初めとする11門からできており、三論と、これに『大智度論』を加えた四論について、共通の根本趣旨と、それぞれの特色について論じている。

趣旨

 吉蔵は本書において、邪を破するために正を提示するが、邪が破せられたならば、正にも執われてはならないとし、諸法の実相(あらゆるものの真実のすがた)は言忘慮絶(ごんもうりょぜつ)である、すなわち言葉も分別も超えているといい、そしてこのように相対観を否定すれば正理(しょうり)を悟って正観(しょうかん)を発生し、が滅する。これが三論の根本趣旨である、と力説している。

テキスト