しち
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
四智
仏陀の4つの智。汚れある八識を変化せしめて得られる4種の汚れなき智を言う。
阿頼耶識の変貌したものが大円鏡智、染汚意(kliṣṭa-manas)の変貌したものが平等性智、意識(mano-vijñāna)の変貌したものが妙観察智、五識(pañcavijñāna-kāya)の変貌したものが成所作智であるという関係である。
成所作智
kṛtya-anuṣṭhāna-jñāna (S)
五識(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識)を変化せしめて得る智。作すべきことを成就する智慧。あらゆる人々を救済するために、あらゆる場所に変化身を現ずる智慧。
妙観察智
pratyavekṣā-jñāna (S)
意識を変化せしめて得られる智慧。妙にものごとを観察する智慧。存在おのおのに固有のすがた(自相)とすべての存在に共通するすがた(共相)とを把握する智慧。この智慧によって総持(陀羅尼。無量の教えを忘れずに心にとどめること)と定門(三摩地。心を一つの対象に集中せしめること)と功徳(六波羅蜜。十力・四無畏などの功徳)とを身につけ、説法の集会において無辺の働きを示し、すぐれた教えを垂れて人々のあらゆる疑問を断じることができる智慧。
平等性智
samatā-jñāna (S)
末那識を変化せしめて得られる智慧。深層的な自我執着心である末那識が質的に変化して、自己と他者とは平等であるとみる智慧。あらゆる存在は一味・平等であるとさとり、大慈悲心を起こして人々の願いに応じて他受用身と他受用身の国土とを示現する智慧。
大円鏡智
ādarśa-jñāna (S)
阿頼耶識を変化せしめて得られる智慧。阿頼耶識の中からあらゆる汚れが取り除かれ、塵一つない磨かれた大きな鏡のようになった心を言う。ありとあらゆる存在(法界)を照らし出し、自受用身と自受用身の国土を示現し、他の3智を生じる働きがある智慧。