ぼだいぶんぽう
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
菩提分法
bodhipākṣikadharmāḥ (S)、bodhipākkhiyādhammā (P)
さとりを得るのに役だつ諸項目のこと。道品、菩提分、覚分、覚支などともいう。具体的には、四念処、四正勤、四神足、五根、五力、七覚支、八正道、これら7体系の総計37項目を指す。
四念処(catvāri smṛtyupasthānāni (S)、cattāro satipaṭṭhānā (P)、四念住)は原始経典によれば、身(身体)・受(感受)・心・法を如実に観察して心に明記することである。『清浄道論』では、身・受・心・法を不浄・苦・無常・無我と観察することであると説明し、有部の論書では、さらに、無常・苦・空・無我を、四念処の共相とすることが多い。
四正勤(catvāri prahāṇāni (S)、cattāro sammappadhānā (P)、四正断、四意断)とは、
- すでに生じた悪を断つよう努力する
- 悪を生じさせないよう努力する
- 善を生じさせるよう努力する
- すでに生じた善を増大させるよう努力する
ことである。
四神足(catvāra ṛddhipādāḥ (S)、cattāro iddhipādā (P)、四如意足)とは、欲神足、精進神足、心神足、観神足をいう。
- 禅定を得ようと意欲し
- 精進努力し
- 心を統一させ
- 思惟観察すること
である。
五根(pañcendriyāṇi (S)、pañcindriyāni (p)、五勝根)および五力(pañca balāni (SP))とは、
の5徳目である。
七覚支(sapta bodhyańgāni,sapta sambodhyańgāni (S)、sattabojjhaliga, satta sambojjhańgā (P)、七覚意)とは、
- 念 念ありて住し
- 択法 智慧によって法を考察して熟思にいたれば
- 精進 不退の精進が得られ
- 喜 喜びが生じ
- 軽安 喜びが生じたものは身心が軽やかとなり、楽あるものとなり
- 定 精神統一が得られ
- 捨 やがて捨にいたる
の7徳目が原始経典に説かれている。また、四念処を修習すれば、七覚支が円満し、七覚支を修習すれば、明・解脱が円満するとも説かれている。
八正道(āryāṣṭāńgo mārgo (S)、ariyo aṭṭhańgiko maggo (P)、八聖道)とは、
- 正見
- 正思惟
- 正語
- 正業
- 正命
- 正精進
- 正念
- 正定
の8徳目である。
以上の説明からわかるように、三十七菩提分法といっても、修道徳目が37種あるわけではない。重複する徳目がかなりあり、実質的には13、4種にまとめうる(『倶舎論』では10種に、『清浄道論』や『摂阿毘達磨義論』では14種にまとめている)。また、以上の7体系のほかにも種々の修道法があるが、すでに原始経典において7体系37項目が諸善法(kusalā dhamma)としてまとめられており、これらがのちの時代に三十七菩提分法と名づけられるにいたったと思われる(漢訳阿含には三十七道品などの語がみえるが、これらはのちの付加であろう)。同じ項目は、大乗仏教でも、菩薩の修行道として採りいれられている。