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− | [[だいしゅぶ|大衆部]]・[[じょうざぶ|上座部]]・[[せついっさいうぶ|説一切有部]]、さらには当時はじまった[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]運動を体系化した。ことに大乗仏教の基盤となる''[[はんにゃきょう|般若経]]''で強調された「[[くう|空]]」を、[[むじしょう|無自性]]であるから「空」であると論じ、[[しゃか|釈迦]]の[[えんぎ|縁起]]を説明し、後の仏教全般に決定的影響を与える。これによって中国や日本では「八宗の祖」と仰がれている。<br> | + | [[だいしゅぶ|大衆部]]・[[じょうざぶ|上座部]]・[[せついっさいうぶ|説一切有部]]、さらには当時はじまった[[だいじょうぶっきょう|大乗仏教]]運動を体系化した。ことに大乗仏教の基盤となる''[[はんにゃきょう|般若経]]''で強調された「[[くう|空]]」を、[[むじしょう|無自性]]であるから「空」であると論じ、[[しゃか|釈迦]]の[[えんぎ|縁起]]を説明し、後の仏教全般に決定的影響を与える。これによって中国や日本では「八宗の祖」と仰がれている。<br> |
− | + | 彼の教えは、[[くまらじゅう|鳩摩羅什]](クマーラジーバ)によって中国に伝えられ、[[さんろんしゅう|三論宗]]が成立。また、[[シャーンタラクシタ]]によってチベットに伝えられ、[[ツォンカパ]]を頂点とする[[ちべっとぶっきょう|チベット仏教]]([[らまきょう|ラマ教]])教学の中核となる。8世紀以降のインド密教においても、竜樹を著者とする''[[ごしだい|五次第]]''などの多数の文献が著された。 | |
===楞伽経の記=== | ===楞伽経の記=== | ||
− | : | + | : 南大国の中に大徳の比丘ありて、龍樹菩薩と名づく。よく有無の見を破し、人のために我法と大乗無上の法を説いて、歓喜地を得て、安楽国へ往生することを証す。 |
− | : | + | : 於南大國中 有大徳比丘 名龍樹菩薩 能破有無見 爲人説我法 大乘無上法 證得歡喜地 往生安樂國 〔入楞伽経 No.671 p.569a〕 |
− | + | この文によって、[[しょうしんげ|正信偈]]の「龍樹大士出於世 悉能摧破有無見」と詠われた。 | |
2020年9月1日 (火) 09:11時点における版
龍樹
りゅうじゅ、Nāgārjuna नागार्जुन(S)
150‐250 年ころのインドの僧。生没年不詳。名前はサンスクリットで「ナーガールジュナ(naagaarjuna)」。南インドのビダルバのバラモン出身で、幼い頃から多くの学問に通じた。シャータバーハナ朝の保護のもと、セイロン・カシミール・ガンダーラ・中国などからの僧侶のために僧院を設けた。この地は後にナーガールジュナコンダと呼ばれる。
大衆部・上座部・説一切有部、さらには当時はじまった大乗仏教運動を体系化した。ことに大乗仏教の基盤となる般若経で強調された「空」を、無自性であるから「空」であると論じ、釈迦の縁起を説明し、後の仏教全般に決定的影響を与える。これによって中国や日本では「八宗の祖」と仰がれている。
彼の教えは、鳩摩羅什(クマーラジーバ)によって中国に伝えられ、三論宗が成立。また、シャーンタラクシタによってチベットに伝えられ、ツォンカパを頂点とするチベット仏教(ラマ教)教学の中核となる。8世紀以降のインド密教においても、竜樹を著者とする五次第などの多数の文献が著された。
楞伽経の記
- 南大国の中に大徳の比丘ありて、龍樹菩薩と名づく。よく有無の見を破し、人のために我法と大乗無上の法を説いて、歓喜地を得て、安楽国へ往生することを証す。
- 於南大國中 有大徳比丘 名龍樹菩薩 能破有無見 爲人説我法 大乘無上法 證得歡喜地 往生安樂國 〔入楞伽経 No.671 p.569a〕
この文によって、正信偈の「龍樹大士出於世 悉能摧破有無見」と詠われた。
著作
- 中論 (正確には頌のみ彼の著作)
- 般若経の注釈書であり、初期の仏教からインド中期仏教までの術語を概説している。
- 大乗菩薩の階位について論述している。おそらくは、偈頌のみが龍樹の作。ことに易行品によって浄土教の往生と成仏が論証されている。
- 宝行王正論
- 勧誡王頌
- 四讃歌
- 大乗破有論
- 菩提資糧論
- 因縁心論
- 大乗二十頌論
- 方便心論