「むりょうじゅきょう」の版間の差分
出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』
(→漢訳) |
|||
3行目: | 3行目: | ||
[[じょうどきょう|浄土教]]の根本聖典の一つで、''[[かんむりょうじゅきょう|観無量寿経]]''、''[[あみだきょう|阿弥陀経]]''とともに[[じょうどさんぶきょう|浄土三部経]]と呼ばれる。サンスクリット原典、チベット語訳、および5種の漢訳が現存する。 | [[じょうどきょう|浄土教]]の根本聖典の一つで、''[[かんむりょうじゅきょう|観無量寿経]]''、''[[あみだきょう|阿弥陀経]]''とともに[[じょうどさんぶきょう|浄土三部経]]と呼ばれる。サンスクリット原典、チベット語訳、および5種の漢訳が現存する。 | ||
====漢訳==== | ====漢訳==== | ||
− | + | # 漢訳 [[しるかせん|支婁迦讖]]訳 ''仏説無量清浄平等覚経'' | |
− | + | # 呉訳 [[しけん|支謙]]訳 ''仏説阿弥陀経''(大阿弥陀経) | |
− | + | # 魏訳 [[こうそうがい|康僧鎧]]訳 ''仏説無量寿経'' | |
− | + | # 唐訳 [[ぼだいるし|菩提流支]]訳 ''無量寿如来会''(''大宝積経'' の一部) | |
− | + | # 宋訳 [[ほっけん|法賢]]訳 ''仏説大乗無量寿荘厳経'' | |
前訳に関しては訳者に疑問がもたれている。一般に用いられるのは魏訳である。また、他にも7つの異訳本があったとされているが、現在は欠本となっている。 | 前訳に関しては訳者に疑問がもたれている。一般に用いられるのは魏訳である。また、他にも7つの異訳本があったとされているが、現在は欠本となっている。 | ||
+ | |||
+ | このうち、1.と2.を古訳といい、原初の無量寿経の真意をもっともよく伝えている。 | ||
+ | |||
====内容==== | ====内容==== | ||
序分に、[[おうしゃじょう|王舎城]]の[[ぎしゃくっせん|耆闍崛山]]において、すぐれた比丘や菩薩たちに対して、[[しゃか|釈迦]]が五徳の瑞相をあらわし説かれた。<br> | 序分に、[[おうしゃじょう|王舎城]]の[[ぎしゃくっせん|耆闍崛山]]において、すぐれた比丘や菩薩たちに対して、[[しゃか|釈迦]]が五徳の瑞相をあらわし説かれた。<br> |
2024年10月31日 (木) 14:26時点における版
無量寿経
大乗仏典の一つ。原題はサンスクリットで『スカーバティービューハ、Sukhāvatīvyūha(極楽の荘厳)』。サンスクリットでは同タイトルの阿弥陀経 と区別して、「大スカーバティービューハ」とも呼ぶ。漢訳は『無量寿経』『大経』『双巻経』とも呼ばれる。
浄土教の根本聖典の一つで、観無量寿経、阿弥陀経とともに浄土三部経と呼ばれる。サンスクリット原典、チベット語訳、および5種の漢訳が現存する。
漢訳
前訳に関しては訳者に疑問がもたれている。一般に用いられるのは魏訳である。また、他にも7つの異訳本があったとされているが、現在は欠本となっている。
このうち、1.と2.を古訳といい、原初の無量寿経の真意をもっともよく伝えている。
内容
序分に、王舎城の耆闍崛山において、すぐれた比丘や菩薩たちに対して、釈迦が五徳の瑞相をあらわし説かれた。
正宗分には、法蔵菩薩が発願し修行して阿弥陀仏となった仏願の始終が説かれる。諸仏の浄土の中から安養の浄土を選び、四十八願が説かれる。なかでも、第十八願は「十方世界の衆生が心を専一にして(至心)深く信じ喜び(信楽)極楽に往生したいと願い(欲生)、わずか10回でも心を起こす(十念)ならば、必ず極楽に往生できる」と説いている。この願と行が成就して阿弥陀仏となってから十劫を経ているという。下巻には、第十八願が成就し衆生は阿弥陀仏の名号を聞信する一念に往生が定まると述べ、さらに浄土に往生した聖衆の徳を説く。
次に釈迦は弥勒菩薩に対して、穢土の様相を三毒、五悪と示し誡め、浄土への往生を願うよう勧める。
流通分には、無上功徳の名号を受持せよとすすめ、聖道の法が滅しても、この経だけは留めおいて人々を救いつづけると説いて終る。
魏訳の特徴
現行流布している巍訳の無量寿経 では、「自然」「無為」「清浄」など、魏晋時代の老荘ないし道教と共通する用語が多く見えるなど、道教の影響が強く反映していると考えられている。