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2017年3月7日 (火) 17:08時点における版
欲
意欲・欲求・欲望、愛欲から渇愛(かつあい)(愛)、貪欲・妄執など、煩悩や執着性までを含む語。何かを望み欲求する心のはたらきのことで、本能的欲求から精神的・向上性的意欲までも意味する。この中で向上性的意欲までを否定するのではなく、そこにまつわる対象への執着を否定する。したがって、わずかなもので満足する「少欲知足(しょうよくちそく)」が出家者には奨励される。
種々の解釈
アビダルマ(阿毘達磨)教学では、望み欲求する心のはたらき(心所)とし、『倶舎論』(4)では大地法(だいじほう)(五位七十五法)の一つとする。
唯識では、「欲」はすべての心の状態に応じて起こるのではなく、ただ欲求する対象に対して起こる(別境(べっきょう))ので五別境の一つとし、「欲」のはたらきには善・悪・無記(その両者でもない)の三性をも求める。善欲は努力し励む心を起こす拠り所であり、悪欲のうちで,他人の物を欲しがる(貪欲)のは根本煩悩の一つに数える。
なお、「意欲」は瞑想の過程における6種の欠陥のうち、懈怠を取り除く要素の一つとする。
六欲
「欲」はまた愛欲(kaama)、特に婬欲・性欲を意味する。凡夫が異性に対して、色欲・形貌欲・威儀姿態欲・語言音声欲・細滑欲・人相欲の姿形や声などの様相に対して起こす欲を「六欲」という。ただし、六欲には、眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の6感覚器官(六根)から生ずるさまざまな欲望をもいう。
「欲界」とは、このような愛欲などの欲があるところであるというので、このように名づけられた。