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出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

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 師より弟子へと相次いで法を伝承することで、くわしくは[[ししそうじょう|師資相承]]、[[ふほうそうじょう|付法相承]]などという。律や教法などの[[でんじそうじょう|伝持相承]]はインド以来行われたもので、経典によってはその相承次第を記しているものがある。中国・日本に及んで各宗派がみな列祖を立て相承を重んじるに至った。
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 例えば、[[てんだいしゅう|天台宗]]では三種相承や四種相承を説く。<br>
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 三種相承とは、金口<コンク>相承(如来が口ずからあらかじめ説いた相承の意で、[[まかかしょう|摩訶迦葉]]から[[ししびく|師子比丘]]までの23祖)・今師<コンシ>相承([[りゅうじゅ|竜樹]]・[[えもん|慧文]]・[[えじ|慧思]]・[[ちぎ|智顗]]の4祖)・九祖相承(竜樹から[[たんねん|湛然]]までの九祖)の三種をいい、四種相承とは日本の[[さいちょう|最澄]]が入唐してわが国へ伝えたもので、[[えんどんかい|円頓戒]]相承(大乗菩薩戒の伝承)・[[しかんごう|止観業]]相承(天台宗の伝承)・[[しゃなごう|遮那業]]相承(密教の伝承)・達磨禅相承([[ぜんしゅう|禅宗]]の伝承)の4種をいう。
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 [[[にちれんしゅう|日蓮宗]]では内外二相承を立て、内相承(本門付属相承、神力付属相承)は本門内証が中間の祖師を超えて本師釈迦仏から本化上行菩薩を経て日蓮大菩薩へと直接に相承することをいい、外相承(迹門付属相承)は[[しゃくもん|迹門]]の[[しゃか|釈迦]]から薬王菩薩・智顗・最澄・日蓮という順序で法華経の教旨を伝承したことをいう。
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 [[しんごんしゅう|真言宗]]では[[だいにちにょらい|大日如来]]・[[こんごうさった|金剛薩埵]]・[[りゅうみょう|竜猛]]・[[りゅうち|竜智]]・[[こんごうち|金剛智]](以上インド)・[[ふくう|不空]]・[[けいか|恵果]](以上中国)・[[くうかい|空海]](日本)と伝える付法8祖と、竜猛・竜智・金剛智・[[ぜんむい|善無畏]]・不空・[[いちぎょう|一行]]・恵果・空海と次第する伝持8祖との2種の相承を立てる。
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 [[しんしゅう|真宗]]では竜樹・[[てんじん|天親]](以上インド)・[[どんらん|曇鸞]]・[[どうしゃく|道綽]]・[[ぜんどう|善導]](以上中国)[[げんしん|源信]]・[[げんくう|源空]](以上日本)の7祖相承を立てる。
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 また[[じしゅう|時宗]]では円戒相承(これは[[びるしゃなぶつ|毘慮遮那仏]]から一遍に至る大乗戒の相承)と伝法相承(これに三国相承と神勅相承との2がある)との2種の相承を説く。
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 その他、[[けごんしゅう|華厳宗]]の十祖相承、[[じょうどしゅう|浄土宗]]の五祖相承、六祖相承、八祖相承など、各宗それぞれ独自の相承説がある。<br>
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 これらの諸説は大別すれば、師資が親しく逢って口に伝え血脈譜または衣鉢などを伝承するものと、面授親聞によらず経巻あるいは夢告などによって法義を相承するものとの二極になり、前者を師資相承、嫡嫡<チャクチャク>相承、口決<クケツ>相承などと呼び、後者を依用<エヨウ>相承、経巻相承などという。禅宗の28祖説などは前者に属し、真宗の7祖相承、日蓮宗の内相承などは後者に属する。
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384-414? 後秦時代の学僧
 
384-414? 後秦時代の学僧

2023年4月23日 (日) 14:11時点における最新版

相承

 師より弟子へと相次いで法を伝承することで、くわしくは師資相承付法相承などという。律や教法などの伝持相承はインド以来行われたもので、経典によってはその相承次第を記しているものがある。中国・日本に及んで各宗派がみな列祖を立て相承を重んじるに至った。

 例えば、天台宗では三種相承や四種相承を説く。
 三種相承とは、金口<コンク>相承(如来が口ずからあらかじめ説いた相承の意で、摩訶迦葉から師子比丘までの23祖)・今師<コンシ>相承(竜樹慧文慧思智顗の4祖)・九祖相承(竜樹から湛然までの九祖)の三種をいい、四種相承とは日本の最澄が入唐してわが国へ伝えたもので、円頓戒相承(大乗菩薩戒の伝承)・止観業相承(天台宗の伝承)・遮那業相承(密教の伝承)・達磨禅相承(禅宗の伝承)の4種をいう。

 [[[にちれんしゅう|日蓮宗]]では内外二相承を立て、内相承(本門付属相承、神力付属相承)は本門内証が中間の祖師を超えて本師釈迦仏から本化上行菩薩を経て日蓮大菩薩へと直接に相承することをいい、外相承(迹門付属相承)は迹門釈迦から薬王菩薩・智顗・最澄・日蓮という順序で法華経の教旨を伝承したことをいう。

 真言宗では大日如来金剛薩埵竜猛竜智金剛智(以上インド)・不空恵果(以上中国)・空海(日本)と伝える付法8祖と、竜猛・竜智・金剛智・善無畏・不空・一行・恵果・空海と次第する伝持8祖との2種の相承を立てる。

 真宗では竜樹・天親(以上インド)・曇鸞道綽善導(以上中国)源信源空(以上日本)の7祖相承を立てる。

 また時宗では円戒相承(これは毘慮遮那仏から一遍に至る大乗戒の相承)と伝法相承(これに三国相承と神勅相承との2がある)との2種の相承を説く。

 その他、華厳宗の十祖相承、浄土宗の五祖相承、六祖相承、八祖相承など、各宗それぞれ独自の相承説がある。
 これらの諸説は大別すれば、師資が親しく逢って口に伝え血脈譜または衣鉢などを伝承するものと、面授親聞によらず経巻あるいは夢告などによって法義を相承するものとの二極になり、前者を師資相承、嫡嫡<チャクチャク>相承、口決<クケツ>相承などと呼び、後者を依用<エヨウ>相承、経巻相承などという。禅宗の28祖説などは前者に属し、真宗の7祖相承、日蓮宗の内相承などは後者に属する。

僧肇

384-414? 後秦時代の学僧

 鳩摩羅什に師事した夭逝の天才であった。

 中国古典でもとりわけ老荘を好み、支謙訳の維摩経を読んで仏教に転じた。羅什を涼州の姑蔵に訪ねてその門に入り、長安ではその訳経を助けた。

著作

  • 般若無知論
  • 物不遷論
  • 不真空論
  • 涅槃無名論

のちにこの四論に宗本義を付して肇論と呼ばれた

 これらは、般若涅槃などに中国人として独自の思索をこらしたもので、のちの中国仏教に決定的な方向性を与えた。