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本経典の物語は、[[しゃえいこく|舎衛国]]の[[はしのく|波斯匿]]王の王女で、[[あゆだ|阿踰陀]]国王の友称に嫁いだ[[しょうまんぶにん|勝鬘夫人]]が、[[しゃくそん|釈尊]]のもとで十大誓願、三大願を立て、さらに正法に関して自説を述べると、釈尊がこれを認めるという話である。<br> | 本経典の物語は、[[しゃえいこく|舎衛国]]の[[はしのく|波斯匿]]王の王女で、[[あゆだ|阿踰陀]]国王の友称に嫁いだ[[しょうまんぶにん|勝鬘夫人]]が、[[しゃくそん|釈尊]]のもとで十大誓願、三大願を立て、さらに正法に関して自説を述べると、釈尊がこれを認めるという話である。<br> | ||
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求那跋陀羅訳の他に、[[ぼだいるし|菩提流支]]の『[[だいほうしゃくきょう|大宝積経]]』〈第48会〉(T11, pp.672-678)があるが、通常は求那跋陀羅訳が用いられる。 | 求那跋陀羅訳の他に、[[ぼだいるし|菩提流支]]の『[[だいほうしゃくきょう|大宝積経]]』〈第48会〉(T11, pp.672-678)があるが、通常は求那跋陀羅訳が用いられる。 | ||
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* 勝鬘経義記 2巻(下巻欠) [[じょうようじ|浄影寺]][[えおん|慧遠]] | * 勝鬘経義記 2巻(下巻欠) [[じょうようじ|浄影寺]][[えおん|慧遠]] | ||
* 勝鬘経宝窟 3巻 [[きちぞう|吉蔵]](T37, pp.1-90) | * 勝鬘経宝窟 3巻 [[きちぞう|吉蔵]](T37, pp.1-90) | ||
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* 蔵漢和三訳合璧 勝鬘経・宝月童子所問経 月輪賢隆 | * 蔵漢和三訳合璧 勝鬘経・宝月童子所問経 月輪賢隆 |
2025年1月30日 (木) 15:02時点における最新版
目次
勝鬘経
大乗経典中で如来蔵思想を説く代表的作品のひとつで、正しくは『勝鬘師子吼一乗大方便方広経』。原典名は“Śrīmālādevī-siṃhanāda-sūtra”1巻。求那跋陀羅(Guṇabhadra, 394-468)漢訳。
本経典の物語は、舎衛国の波斯匿王の王女で、阿踰陀国王の友称に嫁いだ勝鬘夫人が、釈尊のもとで十大誓願、三大願を立て、さらに正法に関して自説を述べると、釈尊がこれを認めるという話である。
この正法の説明で、三乗の教えはすべて大乗の一乗に帰すること、衆生はすべて煩悩にまとわれているが、本性は清浄無垢で如来と等しく、如来の性(仏性、如来蔵)を備えている。これを空・不空の両面から知ることが正知である。
また、如来蔵にもとづいて、生死輪廻の世界も涅槃の獲得も可能であるとする。
勝鬘経の一乗思想は『法華経』の一乗思想を継承した大乗仏教の一大眼目であるが、在家の女性によって法が説かれている点、維摩居士の説く『維摩経』と並んで、大乗仏教の在家主義を示す代表作である。
また、如来蔵思想は、『法界無差別論』『宝性論』『無上依経』『仏性論』、さらに『楞伽経』『起信論』に受け継がれるとともに、中国に入って華厳教学の中に吸収されていく。
『維摩経』とともに古くから在家のものが仏道を説く経典として用いられ、聖徳太子もこの経典の注釈書『勝鬘経義疏』を著している。
構成
如来真実義功徳章
十受章
三大願章
摂受正法章
一乗章
無辺聖諦章
如来蔵章
法身章
空義隠覆真実章
一諦章
一依章
顛倒真実章
自性清浄蔵章
如来真子章
勝鬘章
漢訳
求那跋陀羅訳の他に、菩提流支の『大宝積経』〈第48会〉(T11, pp.672-678)があるが、通常は求那跋陀羅訳が用いられる。
註釈書
本経典の原典は散逸しているが、『宝性論』の中にかなりの部分が引用されており、『大乗集菩薩学論』に引用されているものと併せて、原型が想像される。
チベット訳“lha-mo dpal-phreG-gi seG-geHi sgra”は、菩提流支訳と同様に、『大宝積経』〈第48会〉として翻訳されている。
研究
- 蔵漢和三訳合璧 勝鬘経・宝月童子所問経 月輪賢隆