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* 西本願寺。京都市下京区堀川通りにある浄土真宗本願寺派の本山<br> | * 西本願寺。京都市下京区堀川通りにある浄土真宗本願寺派の本山<br> | ||
* 東本願寺。同下京区烏丸通りにある真宗大谷派の本山(現在は'''本廟'''と呼称)<br> | * 東本願寺。同下京区烏丸通りにある真宗大谷派の本山(現在は'''本廟'''と呼称)<br> | ||
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==本願寺の歴史== | ==本願寺の歴史== | ||
===親鸞の示寂=== | ===親鸞の示寂=== | ||
| − | 弘長２年 | + | 弘長２年(1262年)11月28日 [[しんらん|親鸞]]は三条富小路の善法坊で発病し、90歳をもって示寂。<br> |
翌２９日午後８時に葬送。下野国高田の[[けんち|顕智]]、遠江国池田の[[せんしん|専信]]なども上洛し参列。東山鳥辺野(とりべの)の南、延仁寺で火葬。<br> | 翌２９日午後８時に葬送。下野国高田の[[けんち|顕智]]、遠江国池田の[[せんしん|専信]]なども上洛し参列。東山鳥辺野(とりべの)の南、延仁寺で火葬。<br> | ||
翌３０日拾骨。鳥辺野の北、大谷に墳墓きずき納骨。 | 翌３０日拾骨。鳥辺野の北、大谷に墳墓きずき納骨。 | ||
===廟堂=== | ===廟堂=== | ||
| − | 文永９年 | + | 文永９年(1272年) [[かくしんに|覚信尼]]が住む地に'''大谷廟堂'''を造営、親鸞の影像を安置。<br> |
:守護をする留守職(るすしき)は覚信尼が当たる。以後、尼の子孫を留守職の後継者と定め、後の本願寺の血脈相続の基礎を築く。留守職は覚信尼から覚恵・[[かくにょ|覚如]]両人へ受け継がれる。<br> | :守護をする留守職(るすしき)は覚信尼が当たる。以後、尼の子孫を留守職の後継者と定め、後の本願寺の血脈相続の基礎を築く。留守職は覚信尼から覚恵・[[かくにょ|覚如]]両人へ受け継がれる。<br> | ||
| − | 正和元年 | + | 正和元年(1312年) 覚如は、廟堂を寺院化し、[[せんじゅじ|専修寺]]とした。ところが[[ひえいざん|比叡山]]衆徒の抗議により、その後'''本願寺'''と称す。<br> |
:覚如は、親鸞の全門弟を本願寺の下に統合しようと図る。 | :覚如は、親鸞の全門弟を本願寺の下に統合しようと図る。 | ||
:『''[[くでんしょう|口伝鈔]]''』を著し、[[じょうどしんしゅう|浄土真宗]]の教えが、[[ほうねん|法然]]から親鸞、親鸞から孫の[[にょしん|如信]]へ、如信から覚如に口伝されたとする。このことは、本願寺住持の覚如は、教えの上からも親鸞を継承することを表明した。 | :『''[[くでんしょう|口伝鈔]]''』を著し、[[じょうどしんしゅう|浄土真宗]]の教えが、[[ほうねん|法然]]から親鸞、親鸞から孫の[[にょしん|如信]]へ、如信から覚如に口伝されたとする。このことは、本願寺住持の覚如は、教えの上からも親鸞を継承することを表明した。 | ||
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:当時浄土真宗は本願寺に一本化されたわけではない。地方には教団が乱立していた。[[しんぶつ|真仏]]の系統をひく高田門徒・荒木門徒・和田門徒。他にも鹿島門徒・伊達門徒・横曽根門徒が有力であった。特に高田門徒は非常に盛んであった。[[りょうげん|了源]]の教団は、京都[[ぶっこうじ|仏光寺]]を中心にして「名帳」「絵系図」によって発展をとげた。<br> | :当時浄土真宗は本願寺に一本化されたわけではない。地方には教団が乱立していた。[[しんぶつ|真仏]]の系統をひく高田門徒・荒木門徒・和田門徒。他にも鹿島門徒・伊達門徒・横曽根門徒が有力であった。特に高田門徒は非常に盛んであった。[[りょうげん|了源]]の教団は、京都[[ぶっこうじ|仏光寺]]を中心にして「名帳」「絵系図」によって発展をとげた。<br> | ||
:本願寺は、覚如の後、[[ぜんにょ|善如]]・[[しゃくにょ|綽如]]・[[こうにょ|巧如]]・[[ぞんにょ|存如]]と続いた。その間、本願寺は、徐々に進行した。<br> | :本願寺は、覚如の後、[[ぜんにょ|善如]]・[[しゃくにょ|綽如]]・[[こうにょ|巧如]]・[[ぞんにょ|存如]]と続いた。その間、本願寺は、徐々に進行した。<br> | ||
| − | 明徳元年 | + | 明徳元年(1390年) 第５代'''綽如'''は、越中(富山県)井波に瑞泉寺を建立。第６代'''巧如'''もここで北陸に布教活動を行う。つづく'''存如'''の時代に一段と前進し、近江(滋賀県)・加賀(石川県)・能登(石川県)・越前(福井県)などで本願寺教団の形成がみられる。<br> |
本願寺にも御影堂と阿弥陀堂の両堂が建てられた。 | 本願寺にも御影堂と阿弥陀堂の両堂が建てられた。 | ||
===蓮如継職=== | ===蓮如継職=== | ||
| − | 応永２２年 | + | 応永２２年(1415年) [[れんにょ|蓮如]]、存如の長男として誕生。17歳のとき[[しょうれんいん|青蓮院]]で得度。諱を兼寿、法名を蓮如と称する。<br> |
| − | 宝徳元年 | + | 宝徳元年(1449年) 蓮如35歳、父存如と北陸におもむく。蓮如は、遠く奥州まで各地の親鸞の遺跡を巡拝、門徒を教化。<br> |
| − | 長禄元年 | + | 長禄元年(1457年)6月18日 存如が62歳で示寂。<br> |
存如の妻[[にょえんに|如円尼]]は実子の[[れんしょう|蓮照]]に継職させようと図ったが、存如の弟[[にょじょう|如乗]]の支持で蓮如が本願寺第８代を継いだ。ときに蓮如43歳。<br> | 存如の妻[[にょえんに|如円尼]]は実子の[[れんしょう|蓮照]]に継職させようと図ったが、存如の弟[[にょじょう|如乗]]の支持で蓮如が本願寺第８代を継いだ。ときに蓮如43歳。<br> | ||
:そのころ京都は土一揆で騒然。翌々年には大飢饉で、加茂川が餓死者で埋まる。諸国は戦乱が絶えず、深刻な様相を呈していた。<br> | :そのころ京都は土一揆で騒然。翌々年には大飢饉で、加茂川が餓死者で埋まる。諸国は戦乱が絶えず、深刻な様相を呈していた。<br> | ||
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蓮如はこうした社会の動きに機敏に対応し、積極的な伝道を開始した。<br> | 蓮如はこうした社会の動きに機敏に対応し、積極的な伝道を開始した。<br> | ||
蓮如の熱烈な伝道に共感する門徒は、近畿から東海地方にひろがった。特に近江(滋賀県)では広く帰依し、村々には[[むげこう|無碍光]]本尊が普及した。これは比叡山を強く刺激した。<br> | 蓮如の熱烈な伝道に共感する門徒は、近畿から東海地方にひろがった。特に近江(滋賀県)では広く帰依し、村々には[[むげこう|無碍光]]本尊が普及した。これは比叡山を強く刺激した。<br> | ||
| − | 寛正６年 | + | 寛正６年(1465年) [[おおたにほんがんじ|大谷本願寺]]は、比叡山の僧兵によって破却された。<br> |
| − | 文明３年 | + | 文明３年(1471年) 京都から近江に難をさけた蓮如は、越前(福井県)[[よしざき|吉崎]]に移った。<br> |
| − | 文明７年 | + | 文明７年(1475年) 蓮如は争いを鎮静化させるため吉崎を退去。<br> |
| − | 長享２年 | + | 長享２年(1488年) 一揆は加賀において共和国「百姓のもちたる国」を樹立。<br> |
吉崎を退去した蓮如は、河内(大阪府)の[[でぐち|出口]]を拠点に積極的な伝道を開始。結果、浄土・聖道諸宗の僧俗が多く帰依。<br> | 吉崎を退去した蓮如は、河内(大阪府)の[[でぐち|出口]]を拠点に積極的な伝道を開始。結果、浄土・聖道諸宗の僧俗が多く帰依。<br> | ||
| − | 文明１０年 | + | 文明１０年(1478年) 出口から[[やましな|山科]]へおもむき、翌年１月本願寺造営に着手。<br> |
| − | 同１５年 | + | 同１５年(1483年) 山科に御影堂・阿弥陀堂・寝殿など諸堂舎が完成。<br> |
:伽藍の整備と平行し、寺の周辺に多数の民家が営まれ、寺内町を構成した。ここに諸国から参詣人や各職種の人たちが集い、京都市中をしのぐ盛況を呈する。<br> | :伽藍の整備と平行し、寺の周辺に多数の民家が営まれ、寺内町を構成した。ここに諸国から参詣人や各職種の人たちが集い、京都市中をしのぐ盛況を呈する。<br> | ||
本願寺の教線は、北海道から九州にいたる全国にのびた。さらに中国大陸北部の契丹人も教えを求めて来日した。上人によって本願寺は日本有数の大教団に成長した。<br> | 本願寺の教線は、北海道から九州にいたる全国にのびた。さらに中国大陸北部の契丹人も教えを求めて来日した。上人によって本願寺は日本有数の大教団に成長した。<br> | ||
| − | 延徳元年 | + | 延徳元年(1489年) 蓮如75歳。[[じつにょ|実如]]に本願寺を譲る。<br> |
| − | 明応６年 | + | 明応６年(1497年) 蓮如83歳。大坂[[いしやま|石山]]に坊舎を建て隠居所とする。<br> |
| − | 明応８年 | + | 明応８年(1499年) 春。蓮如の病状悪化。<br> |
| − | : | + | :2月20日 山科本願寺に帰る。<br> |
| − | : | + | :3月25日 蓮如示寂。 |
===戦国時代の本願寺=== | ===戦国時代の本願寺=== | ||
第９代'''実如'''・第１０代[[しょうにょ|証如]]・第１１代[[けんにょ|顕如]]の時代１００年間は、戦国混乱の時期にあたる。本願寺は民衆が支配者にたいして展開した解放運動のささえとなり、社会変革の思想的原動力となった。<br> | 第９代'''実如'''・第１０代[[しょうにょ|証如]]・第１１代[[けんにょ|顕如]]の時代１００年間は、戦国混乱の時期にあたる。本願寺は民衆が支配者にたいして展開した解放運動のささえとなり、社会変革の思想的原動力となった。<br> | ||
その間に、本願寺の教勢は大いに発展し、日本有数の大教団として、また一個の強力な社会的勢力としての地位を得るにいたる。<br> | その間に、本願寺の教勢は大いに発展し、日本有数の大教団として、また一個の強力な社会的勢力としての地位を得るにいたる。<br> | ||
| − | 永正３年 | + | 永正３年(1506年) 近畿・北陸・東海で、本願寺門徒が一斉に蜂起。<br> |
| − | 永正４年 | + | 永正４年(1507年) 細川政元が家督争いのため殺された。本願寺は蓮如いらい政元と親交があり、紛争にまきこまれることを恐れ、実如と宗祖[[しんねい|真影]]は近江堅田に避難。２年近く滞在。<br> |
| − | 明応９年 | + | 明応９年(1500年) 実如の長男[[しょうにょ|照如]]、22歳で死去。<br> |
| − | 大永元年 | + | 大永元年(1521年) 実如の次男[[えんにょ|円如]]、32歳で没。<br> |
| − | 大永５年 | + | 大永５年(1525年)2月2日 実如、68歳で死去。 |
===大坂石山の坊舎へ移転=== | ===大坂石山の坊舎へ移転=== | ||
| − | 天文元年 | + | 天文元年(1532年) 細川晴元をたすけ、近畿の門徒２万人を動員して畠山氏を敗る。<br> |
| − | 天文元年 | + | 天文元年(1532年)8月 京都の日蓮宗徒と近江の六角定頼の連合軍、山科本願寺を焼却。<br> |
| − | 永禄２年 | + | 永禄２年(1559年) 顕如、[[もんぜき|門跡]]に列せられる。<br> |
:下間氏が坊官、三河本宗寺・播磨本徳寺・河内顕証寺が院家となる。<br> | :下間氏が坊官、三河本宗寺・播磨本徳寺・河内顕証寺が院家となる。<br> | ||
| − | 永禄１２年 | + | 永禄１２年(1569年) 顕如の次男[[けんそん|顕尊]]が入寺した[[こうしょうじ|興正寺]]は脇門跡に任ぜられる。<br> |
| − | 天文２３年 | + | 天文２３年(1554年)8月11日 顕如、得度。12歳<br> |
| − | 天文２３年 | + | 天文２３年(1554年)8月13日 証如、39歳で示寂。 |
===戦国大名の門徒禁圧=== | ===戦国大名の門徒禁圧=== | ||
永正年間。越前(福井県)の朝倉氏の内紛に加賀(石川県)の門徒が介入。<br> | 永正年間。越前(福井県)の朝倉氏の内紛に加賀(石川県)の門徒が介入。<br> | ||
| − | 天文１０年 | + | 天文１０年(1541年) 朝倉氏との間で和談。<br> |
| − | 弘治２年 | + | 弘治２年(1556年) 講和成立。<br> |
| − | 永禄６年 | + | 永禄６年(1563年) 三河(愛知県)の本願寺門徒、徳川家康と争い、翌年に和睦。これ以後、家康は領国内の本願寺門徒を禁圧。禁圧がとけたのは、２０年後の天正１１年(1583年)。<br> |
| − | + | 永正元年(1504年) 相模(神奈川県)の北条氏は、いらい５０年間にわたって領内の真宗を禁ずる。<br> | |
| − | 永正１８年 | + | 永正１８年(1521年) 越後(新潟県)の長尾氏。本願寺門徒を禁圧。<br> |
| − | 天文２２年 | + | 天文２２年(1553年) 長尾景虎(上杉謙信)は京都への通路を確保するため本願寺と和解。 |
:薩摩(鹿児島県)の島津氏。明治初年まで禁教を継続。 | :薩摩(鹿児島県)の島津氏。明治初年まで禁教を継続。 | ||
===石山戦争=== | ===石山戦争=== | ||
| − | 永禄１１年 | + | 永禄１１年(1568年) 織田信長、京都に入る。<br> |
| − | 元亀元年 | + | 元亀元年(1570年) 石山戦争がぼっ発。10年間継続<br> |
| − | 顕如は石山を退去して紀伊鷺森に移転。蓮如が石山に坊舎を建立して８５年目。<br>天正１９年 | + | 顕如は石山を退去して紀伊鷺森に移転。蓮如が石山に坊舎を建立して８５年目。<br>天正１９年(1592年) 京都本願寺の御影堂と阿弥陀堂とが完成。<br> |
| − | 天正２０年 | + | 天正２０年(1593年)11月24日 顕如は50歳で示寂。<br> |
===東西本願寺=== | ===東西本願寺=== | ||
石山戦争の終結をめぐり顕如と長男[[きょうにょ|教如]]の意見が対立。顕如が示寂すると、教如が継職。さらに譲状によって、教如は隠退し、[[じゅんにょ|准如]]が本願寺第１２代を継職。<br> | 石山戦争の終結をめぐり顕如と長男[[きょうにょ|教如]]の意見が対立。顕如が示寂すると、教如が継職。さらに譲状によって、教如は隠退し、[[じゅんにょ|准如]]が本願寺第１２代を継職。<br> | ||
| − | 慶長７年 | + | 慶長７年(1602年) 家康は教如に寺地を寄進。<br> |
翌年 上野(栃木県)妙安寺から、宗祖の木像を迎え、御堂を建立して安置。<br> | 翌年 上野(栃木県)妙安寺から、宗祖の木像を迎え、御堂を建立して安置。<br> | ||
こうして東本願寺は別立。すると教如のもとに加わるものも多く、やがて門徒の集合離散し、本願寺教団は東西にほぼ半分に分割され現在に及ぶ。 | こうして東本願寺は別立。すると教如のもとに加わるものも多く、やがて門徒の集合離散し、本願寺教団は東西にほぼ半分に分割され現在に及ぶ。 | ||
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| + | [http://www.terakoya.com/hongwanji/h_ryodo2.jpg 西本願寺]<br> | ||
| + | [http://www3.airnet.ne.jp/hmx-12/journey/photo/kyoto01.jpg 東本願寺] | ||
2010年9月21日 (火) 16:11時点における最新版
目次
本願寺
ほんがんじ
- 西本願寺。京都市下京区堀川通りにある浄土真宗本願寺派の本山
- 東本願寺。同下京区烏丸通りにある真宗大谷派の本山(現在は本廟と呼称)
の同名の２寺院をいう。
本願寺の歴史
親鸞の示寂
弘長２年(1262年)11月28日 親鸞は三条富小路の善法坊で発病し、90歳をもって示寂。
翌２９日午後８時に葬送。下野国高田の顕智、遠江国池田の専信なども上洛し参列。東山鳥辺野(とりべの)の南、延仁寺で火葬。
翌３０日拾骨。鳥辺野の北、大谷に墳墓きずき納骨。
廟堂
文永９年(1272年) 覚信尼が住む地に大谷廟堂を造営、親鸞の影像を安置。
- 守護をする留守職(るすしき)は覚信尼が当たる。以後、尼の子孫を留守職の後継者と定め、後の本願寺の血脈相続の基礎を築く。留守職は覚信尼から覚恵・覚如両人へ受け継がれる。
正和元年(1312年) 覚如は、廟堂を寺院化し、専修寺とした。ところが比叡山衆徒の抗議により、その後本願寺と称す。
- 覚如は、親鸞の全門弟を本願寺の下に統合しようと図る。
- 『口伝鈔』を著し、浄土真宗の教えが、法然から親鸞、親鸞から孫の如信へ、如信から覚如に口伝されたとする。このことは、本願寺住持の覚如は、教えの上からも親鸞を継承することを表明した。
本願寺の形成
- 当時浄土真宗は本願寺に一本化されたわけではない。地方には教団が乱立していた。真仏の系統をひく高田門徒・荒木門徒・和田門徒。他にも鹿島門徒・伊達門徒・横曽根門徒が有力であった。特に高田門徒は非常に盛んであった。了源の教団は、京都仏光寺を中心にして「名帳」「絵系図」によって発展をとげた。
- 本願寺は、覚如の後、善如・綽如・巧如・存如と続いた。その間、本願寺は、徐々に進行した。
明徳元年(1390年) 第５代綽如は、越中(富山県)井波に瑞泉寺を建立。第６代巧如もここで北陸に布教活動を行う。つづく存如の時代に一段と前進し、近江(滋賀県)・加賀(石川県)・能登(石川県)・越前(福井県)などで本願寺教団の形成がみられる。
本願寺にも御影堂と阿弥陀堂の両堂が建てられた。
蓮如継職
応永２２年(1415年) 蓮如、存如の長男として誕生。17歳のとき青蓮院で得度。諱を兼寿、法名を蓮如と称する。
宝徳元年(1449年) 蓮如35歳、父存如と北陸におもむく。蓮如は、遠く奥州まで各地の親鸞の遺跡を巡拝、門徒を教化。
長禄元年(1457年)6月18日 存如が62歳で示寂。
存如の妻如円尼は実子の蓮照に継職させようと図ったが、存如の弟如乗の支持で蓮如が本願寺第８代を継いだ。ときに蓮如43歳。
- そのころ京都は土一揆で騒然。翌々年には大飢饉で、加茂川が餓死者で埋まる。諸国は戦乱が絶えず、深刻な様相を呈していた。
- 社会は徐々に進展し、民衆が力を得た。農村の生産力の増大と、荘園領主の没落で、農民の地位はしだいに向上し、やがて自治的な惣村をつくる。
蓮如はこうした社会の動きに機敏に対応し、積極的な伝道を開始した。
蓮如の熱烈な伝道に共感する門徒は、近畿から東海地方にひろがった。特に近江(滋賀県)では広く帰依し、村々には無碍光本尊が普及した。これは比叡山を強く刺激した。
寛正６年(1465年) 大谷本願寺は、比叡山の僧兵によって破却された。
文明３年(1471年) 京都から近江に難をさけた蓮如は、越前(福井県)吉崎に移った。
文明７年(1475年) 蓮如は争いを鎮静化させるため吉崎を退去。
長享２年(1488年) 一揆は加賀において共和国「百姓のもちたる国」を樹立。
吉崎を退去した蓮如は、河内(大阪府)の出口を拠点に積極的な伝道を開始。結果、浄土・聖道諸宗の僧俗が多く帰依。
文明１０年(1478年) 出口から山科へおもむき、翌年１月本願寺造営に着手。
同１５年(1483年) 山科に御影堂・阿弥陀堂・寝殿など諸堂舎が完成。
- 伽藍の整備と平行し、寺の周辺に多数の民家が営まれ、寺内町を構成した。ここに諸国から参詣人や各職種の人たちが集い、京都市中をしのぐ盛況を呈する。
本願寺の教線は、北海道から九州にいたる全国にのびた。さらに中国大陸北部の契丹人も教えを求めて来日した。上人によって本願寺は日本有数の大教団に成長した。
延徳元年(1489年) 蓮如75歳。実如に本願寺を譲る。
明応６年(1497年) 蓮如83歳。大坂石山に坊舎を建て隠居所とする。
明応８年(1499年) 春。蓮如の病状悪化。
- 2月20日 山科本願寺に帰る。
- 3月25日 蓮如示寂。
戦国時代の本願寺
第９代実如・第１０代証如・第１１代顕如の時代１００年間は、戦国混乱の時期にあたる。本願寺は民衆が支配者にたいして展開した解放運動のささえとなり、社会変革の思想的原動力となった。
その間に、本願寺の教勢は大いに発展し、日本有数の大教団として、また一個の強力な社会的勢力としての地位を得るにいたる。
永正３年(1506年) 近畿・北陸・東海で、本願寺門徒が一斉に蜂起。
永正４年(1507年) 細川政元が家督争いのため殺された。本願寺は蓮如いらい政元と親交があり、紛争にまきこまれることを恐れ、実如と宗祖真影は近江堅田に避難。２年近く滞在。
明応９年(1500年) 実如の長男照如、22歳で死去。
大永元年(1521年) 実如の次男円如、32歳で没。
大永５年(1525年)2月2日 実如、68歳で死去。
大坂石山の坊舎へ移転
天文元年(1532年) 細川晴元をたすけ、近畿の門徒２万人を動員して畠山氏を敗る。
天文元年(1532年)8月 京都の日蓮宗徒と近江の六角定頼の連合軍、山科本願寺を焼却。
永禄２年(1559年) 顕如、門跡に列せられる。
- 下間氏が坊官、三河本宗寺・播磨本徳寺・河内顕証寺が院家となる。
永禄１２年(1569年) 顕如の次男顕尊が入寺した興正寺は脇門跡に任ぜられる。
天文２３年(1554年)8月11日 顕如、得度。12歳
天文２３年(1554年)8月13日 証如、39歳で示寂。
戦国大名の門徒禁圧
永正年間。越前(福井県)の朝倉氏の内紛に加賀(石川県)の門徒が介入。
天文１０年(1541年) 朝倉氏との間で和談。
弘治２年(1556年) 講和成立。
永禄６年(1563年) 三河(愛知県)の本願寺門徒、徳川家康と争い、翌年に和睦。これ以後、家康は領国内の本願寺門徒を禁圧。禁圧がとけたのは、２０年後の天正１１年(1583年)。
永正元年(1504年) 相模(神奈川県)の北条氏は、いらい５０年間にわたって領内の真宗を禁ずる。
永正１８年(1521年) 越後(新潟県)の長尾氏。本願寺門徒を禁圧。
天文２２年(1553年) 長尾景虎(上杉謙信)は京都への通路を確保するため本願寺と和解。
- 薩摩(鹿児島県)の島津氏。明治初年まで禁教を継続。
石山戦争
永禄１１年(1568年) 織田信長、京都に入る。
元亀元年(1570年) 石山戦争がぼっ発。10年間継続
顕如は石山を退去して紀伊鷺森に移転。蓮如が石山に坊舎を建立して８５年目。
天正１９年(1592年) 京都本願寺の御影堂と阿弥陀堂とが完成。
天正２０年(1593年)11月24日 顕如は50歳で示寂。
東西本願寺
石山戦争の終結をめぐり顕如と長男教如の意見が対立。顕如が示寂すると、教如が継職。さらに譲状によって、教如は隠退し、准如が本願寺第１２代を継職。
慶長７年(1602年) 家康は教如に寺地を寄進。
翌年 上野(栃木県)妙安寺から、宗祖の木像を迎え、御堂を建立して安置。
こうして東本願寺は別立。すると教如のもとに加わるものも多く、やがて門徒の集合離散し、本願寺教団は東西にほぼ半分に分割され現在に及ぶ。
